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ワーカビリティーは、コンクリートの変形および流動に対する抵抗性(コンシステンシー)と材料分離に対する抵抗性とを合わせた、いわば作業性ともいうべき性質で、フレッシュコンクリートの性質のうち、最も包括的な性質である。
ワーカビリティーは、(1)降伏値、(2)塑性粘度、(3)ダイラタンシー、(4)内部摩擦角、(5)凝集力など多くの基本物性が複雑に関係して構成される性質で、これを測定したり、定量的に表示したりすることは難しい。
ワーカビリティーは、コンクリートの練混ぜから運搬、打込み、締固め、仕上げまでの一連の作業に関するコンクリートの施工特性を表すものであり、判定の基準は、構造物の種類や施工箇所、施工方法によって異なる。このため、ワーカビリティーは「良い」、「悪い」、「作業に適する」など、定性的かつ相対的な評価となる。
ワーカビリティーは、コンシステンシーと材料分離に対する抵抗性を合わせた性質であるから、これらに影響を及ぼす因子は、すべて、ワーカビリティーにも影響を及ぼす。
単位水量を大きくすることや粗骨材の最大寸法を大きくすることは、流動性を増すが材料分離の傾向も増す。また、細骨材率を小さくすることや細骨材の粗粒率を大きくする場合にも、過度にわたれば、材料分離の傾向が増す。このように、流動性と材料分離に対する抵抗性に対して相反する影響を及ぼす因子が多く、両者を同時に満足させることが難しい場合が多い。
AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、フライアッシュなどの混和材料の使用、および粒形・粒度の良い骨材を用いることは、同じコンシステンシーのコンクリートを得るのに必要な単位水量を減じ、材料分離に対する抵抗性を増すことから、ワーカビリティーを良くする。
単位セメント量が多いほど、そのコンクリートのプラスティシティー(容易に型枠に詰めることができ、型枠を取り去るとゆっくりと形を変えるが、くずれたり、材料が分離することのないような、フレッシュコンクリートの性質)が増すので、一般に富配合のものは貧配合のものよりワーカビリティーが良いといえる。
セメントの種類、粉末度、風化の程度などはワーカビリティーに影響を及ぼす。一般に、粉末度の高いセメントを使用した場合、セメントペーストの粘性が高くなり、流動性は小さくなる。逆に、粉末度が2 800 cm2/g以下の低いものを使用した場合は、セメントペーストの粘性が低くなりすぎ、流動性は大きくなっても材料分離が生じやすく、ワーカビリティーは悪くなる。風化したセメントや異常凝結を示すセメントは、ワーカビリティーを著しく悪くする。
練混ぜ不十分で不均質な状態のコンクリートはワーカビリティーが悪い。一方、過度に練混ぜ時間が長いと、骨材が砕かれて微粉の量が増したり空気量が減少したりするため、ワーカビリティーは悪くなる。
(上記内容は、コンクリート技術の要点'07からの抜粋です。詳細はそちらをご確認下さい。)