日本コンクリート工学会

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コンクリートの基礎知識

熱的性質と耐火性

 コンクリートの熱膨張係数、比熱、熱伝導率および熱拡散係数などの熱的性質は、水セメント比や材齢などの影響が小さく、骨材の種類および単位量に影響される。

 加熱によるコンクリートの強度や弾性の低下は、骨材と硬化したセメントペーストとの熱膨張の差による組織のゆるみ、ペースト中の化学的結合水の脱水、水酸化カルシウムなどの水和物の分解、骨材の変質などによって生じ、強度よりも弾性係数の低下が著しい。普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートが加熱された場合、加熱温度が高いほど強度の低下が著しく、500度では常温時の強度の60 % 以下に低下する。同一条件のコンクリートを、その後30日程度空中放置すれば、冷却直後の強度からさらに10 % 程度低下し、その後は徐々に回復する。弾性係数は、温度上昇にともなう低下が強度以上に著しく、500度では常温の値の10~20 % となる。この値は、空中放置30日後でもあまり変わらないが、1年後にはかなりの回復を示す。また、緻密なコンクリートあるいは含水率の高いコンクリートでは、急激な加熱によって爆裂を起こすことがある。

 鉄筋コンクリート構造物を耐火的にするための対策として、(1)耐火性の小さい鉄筋を保護するため、かぶりを十分にとる、(2)かぶりコンクリートが剥落するのを防ぐため、エキスパンデッドメタルなどを用いる、(3)骨材に耐火性の高いものを選ぶ(石灰質骨材は避けた方がよい)、(4)コンクリート表面を石こうプラスターなどの材料で保護する、などが考えられる。

(上記内容は、コンクリート技術の要点'07からの抜粋です。詳細はそちらをご確認下さい。)

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