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普通・早強・超早強・中庸熱・低熱・耐硫酸塩の6種類の各ポルトランドセメントと、それぞれの低アルカリ形の合計12種類がJISに制定されている。低アルカリ形セメントは、わが国においてアルカリ骨材反応によるコンクリート構造物の損傷が発生したことに関連し、これに対応する対策の一つとして、セメント中の全アルカリ量を0.6 %以下に保証したもので、1986年に規定された。また、2003年11月のポルトランドセメントのJIS改正により、普通ポルトランドセメントの塩化物イオンの許容値が従来の0.02%から0.035%に引き上げられた。これは、セメントの原料・燃料の一部に使用されている廃棄物の使用可能量の増加に対応するものである。
工事用または製品用として最も多く使用される、一般的なセメントである。
早期に高い強度(3日で普通ポルトランドセメントの7日強度に相当)が得られ、しかも長期にわたって強度増進を示す。プレストレストコンクリート、寒中コンクリート、工期短縮を要する工事、工場製品などに使用される。
早強ポルトランドセメントよりさらにC3Sを多くし、粉末度を細かくしてあり、早強ポルトランドセメントの3日強度を1日で発現する。緊急工事、寒中工事、グラウト用などに使用されていたが現在は製造されていない。
水和熱を下げるためにC3SとC3Aを減じC2Sを多くしてあり、ダムなどマスコンクリートに使用される。初期強度は小さいが、長期強度が大きい。
1997年4月に新たに追加されたポルトランドセメントで、水和熱を下げるために、中庸熱ポルトランドセメントよりもさらにC2Sが多く、C2S含有量が40 %以上と規定されている。中庸熱ポルトランドセメントよりも水和熱が低く、初期強度は小さいが、長期強度は大きい。また、高強度域での強度発現が良好であり、さらにC3Aが少なく高性能AE減水剤が有効に作用するため、低水粉体比のコンクリートで高流動性が得やすいという特徴を有する。以上の理由より、本セメントはその低発熱性を活かしたマスコンクリート用途とともに、高強度コンクリート、高流動コンクリートに使用されている。
C3Aを少なくして硫酸塩との反応性を小さくしてあり、硫酸塩を含む土壌地帯での工事に適し、耐海水性にも優れている。多くが中近東方面へ輸出される。
(上記内容は、コンクリート技術の要点'07からの抜粋です。詳細はそちらをご確認下さい。)