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”コンクリートの強度”という言葉のもつ内容は複雑で、圧縮、引張、曲げ、せん断、支圧などの強度、鉄筋との付着強度、複合応力に対する強度、持続荷重下のクリープ破壊および繰返し荷重下の疲労強度などが含まれる。
しかし、単にコンクリートの強度といえば、一般には圧縮強度を指す。その理由は、(1) 圧縮強度が他の強度に比較して大きく、また鉄筋コンクリート部材の設計でもこれが有効に利用されていること、(2) 圧縮強度から、他の強度や強度以外の硬化したコンクリートの性質を概略推定することが可能であること、(3) 試験方法[JIS A 1108]が簡易であること、が挙げられる。
コンクリートの配(調)合決定などで、強度推定式として現在でも汎用されているのは、1932年、I. Lyseによって提唱された、圧縮強度とセメント水比との間に直線関係があるとするセメント水比説である。また、コンクリートの圧縮強度に影響する要因としては、 材料の品質、 配(調)合、 施 工 方 法、 材齢、 養生、 試 験 方 法、がある。
コンクリートの引張強度は、割裂試験で間接的に求めるのが標準である(JIS A 1113)。これは、円柱供試体を横に寝かせて上下より圧縮荷重を加え供試体の中心軸を含む一様な引張応力が鉛直面に生ずることを利用した方法である。引張強度は圧縮強度のほぼ1/10~1/13であるが、高強度になるとその比は小さくなる。
曲げ強度の試験方法は、JIS A 1106に規定されており、角柱供試体(15×15×53 cmまたは10×10×40 cm)を用い、3等分点載荷で行う。この試験によって最大曲げモーメント(破壊モーメント)を求め、曲げ強度を計算する。曲げ強度と圧縮強度との関係は、その比は1/5~1/8程度である。
鉄筋とコンクリートの付着力を構成する要素は、 (1)鉄筋とセメントペーストとの純付着力(粘着力)、(2) 鉄筋とコンクリートとの間の側圧力に基づく摩擦力、(3) 鉄筋表面の凹凸による機械的抵抗力である。
付着強度は、鉄筋の配置方向によって相当異なる。これは、ブリーディングの影響により鉄筋周囲のコンクリートの品質が相違するためである。また付着強度は、鉄筋の表面状態によって著しく異なる。これは、機械的抵抗力が付着強度の相当部分を占めているからである。
橋脚の支承部やプレストレストコンクリートの緊張材定着部などでは、部材面の一部分だけに圧縮力が作用する。このような局部荷重を受ける場合のコンクリートの圧縮強度を支圧強度と呼ぶ。
静的破壊強度よりも低い応力であっても、それが繰り返し載荷されると、材料は破壊に至ることがある。これを疲労ないし疲労破壊と呼ぶ。
繰返し応力の大きさ(上限応力あるいは応力振幅)と破壊までの繰返し回数(疲労寿命ともいう。一般に対数目盛で表す。)との間には、おおむね直線関係が成立するといわれている。 無限回の繰返しに耐える限界を疲労限、耐久限、疲労限度などと呼ぶ。疲労限は、応力集中がない平滑な応力状態の金属材料では認められるが、コンクリートでは繰返し回数が1 000万回の範囲内ではまだ疲労限が確認されていない。 このような場合、ある繰返し回数に耐える応力をもって、〇〇回疲労強度といい、疲労限にかえる。コンクリートにおける200万回疲労強度は静的強度の55~65 % 程度であるといわれている。
(上記内容は、コンクリート技術の要点'07からの抜粋です。詳細はそちらをご確認下さい。)