日本コンクリート工学会

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会誌「コンクリート工学」

コンクリート工学 Vol.63, No.1
2025年1月号

 

特集
コンクリート工事における品質確保に向けた取組み

信楽高原鐡道の第一大戸川橋梁や小樽北防波堤など長い年月にわたって社会を支えてきた良質なコンクリート構造物はコンクリート工事を行う上での模範として考えられており、コンクリート工事の品質確保の重要性を示してくれている。土木分野のコンクリート工事の品質確保は、土木学会コンクリート標準示方書に準じて、入念な施工を行うことが求められているが、残念ながら初期欠陥が顕在化している事例も報告されている。また、コンクリート工事の良否がその後の長期耐久性に及ぼす影響についても指摘されており、コンクリート構造物の維持管理の観点からもコンクリート工事の品質確保は極めて重要である。そのような状況において、山口県発のひび割れ抑制・品質確保システムや東北復興道路の品質・耐久性確保システムが好事例として着目されてきた。国土交通省や高速道路各社ではコンクリート工事の品質向上に向けた様々な取組みを実施しており、品質確保に向けた取組みは地方自治体にも普及しつつある。

また、土木・建築に共通して、厳しい環境条件などに対応した暑中コンクリートや寒中コンクリートに対する様々な取組みが全国各地で実施されている。さらに、民間企業など産業界においても様々な取組みが実施されており、品質管理システムにより品質管理業務の効率化と生産性を向上させる取組み、海外工事におけるコンクリート受入検査時の圧縮強度推定に関する取組み、橋梁下部工の温度ひび割れの抑制対策、狭隘部へのコンクリート打込みとなるトンネル覆工コンクリートに対する充填シミュレーションによる取組み、高層建築におけるCFT柱への高強度コンクリートの圧入時の施工性の確保に関する取組み、コンクリート打込み時における溶液散布による雨水浸透防止対策、床版上面増厚工法に用いる超高強度繊維補強セメント系複合材料の材料物性や施工性の確保に関する取組み等の多様なコンクリート工事に対して品質確保に向けた様々な取組みが実施されている。さらに、コンクリートの試験を行う第三者試験機関によって、コンクリートの受入検査を実施することと併せて、コンクリート打込み時の管理や打込み後の管理の取組みが実施されている。

そこで、本特集号では産官学の有識者や技術者にコンクリート工事の品質確保に向けた様々な取組みに関する原稿をご寄稿頂き、1. 品質確保に向けたシステム、2. 暑中・寒中コンクリートに関する知見・取組み、3 .高度な施工技術に関する知見・取組みの章立てにて整理した。コンクリート工事の品質確保は産官学の連携による取組みが重要であるが、本特集号がコンクリート工事の品質確保に向けた取組みを行う上での一助となれば幸いである。

(コンクリート工学編集委員会)

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