日本コンクリート工学会

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2016年4月号

2.コンクリート製品活用の利点

 コンクリート製品の本質的優位性に加えて、構造物施工のプレキャスト化に寄与する特徴として次の事柄が挙げられます。v

(1)コンクリート製品の品質安定性・信頼性・規格・品質保証

img①天候の影響がほとんどない
 コンクリート製品は一般に屋内で成形などの作業をするため、コンクリートの品質に影響する日射や降雨がなく、工程や品質を損なう恐れがほとんどありません。
②フレッシュコンクリートの長距離運搬がない
 コンクリート製品工場では同一敷地内のプラントでコンクリートを製造するので、品質変動を生じやすいフレッシュコンクリートの長距離運搬がなく、品質が安定しています。
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img③熟練工による一定配合の繰返し製造
 コンクリート製品工場においては製品の種類、形状ごとに熟練工グループが同一配合のコンクリートを用いて、繰り返し製造を行うので、作業ミスがほとんどありません。また「コンクリート技士vi」、「コンクリート製品製造管理士vii」、「土木用コンクリートブロック技士viii」などの資格を有した管理者、熟練工が製造しています。
④低水セメント比
 一般に単位水量が少なく、水セメント比が小さな硬練りコンクリートを用いることが多く、耐久的なコンクリートとなります。
⑤高性能締固め装置による成形
 コンクリート製品は鋼製型枠やテーブルに取り付けたバイブレーターにより十分な締固めが可能となり均質なコンクリートの品質・外観を得ることができます。
テーブルバイブレーター img
テーブルバイブレーター
型枠に取り付けたバイブレーター img
型枠に取り付けたバイブレーター
img⑥品質管理体制
 コンクリート製品工場は、コンクリートの練混ぜから成形、養生、脱型の製造工程の流れが整えられており、また作業員が定められた役割を分担しているので、品質管理体制を整えやすい環境です。
⑦コンクリート製品の品質保証
 コンクリート製品はJISなどで規格化されている製品が多く、JISマーク制度やISO9000シリーズ等で製品の品質に関する第三者認証を受けているものが多数あります。またコンクリート製品は大型であっても載荷試験によって確認することができます。
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(2)建設作業員の減少対策および現場作業の省力化

①建設現場での作業量を大幅に軽減
 コンクリート製品は、本来建設現場で必要な工程(型枠工、鉄筋工、コンクリート工、養生工等)が工場で行われますので、建設作業が大幅に軽減されます。
img②建設現場における品質管理、工程管理を大幅に軽減
 完成品を現場に持ち込むので、現場でコンクリートの養生期間を考慮する必要がなく、品質管理が軽減されます。また、高層RC建築現場では、プレキャスト積層工法によって工程管理が単純化されます。
③施工速度の向上
 プレキャスト部材を組立て当日搬入することで、現場にストックヤードがない場合でも、トラックの荷台からクレーンで直接荷受けし、据え付け、組立てすることが可能となり、施工計画次第で更なる施工スピードアップが図れる結果、工期短縮に寄与します。
④3Kの軽減
 コンクリート製品を購入、設置することにより、現場でのコンクリート打設を最小限に抑え、手作業や重労働作業が削減され、汚れる、重い物を持つ、高所での作業軽減によって、建設現場における3K(きつい・汚い・危険)軽減に寄与することができます。
⑤現場廃棄物の減少
 構造部材のプレキャスト化によって、支保工・型枠、レディーミクストコンクリートなどの材料の搬入が減るので、現場廃棄物量(残コン、戻りコン、木製型枠、木くず、鉄筋端材)などを低減できます。

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