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2026年8月号目次
会誌「コンクリート工学」
コンクリート工学 Vol.64, No.8
2026年8月号
目次
巻頭言
第32代会長に就任して
野口貴文
TOPICS
テクノ・ラボ大阪
船尾孝好
解説
コンクリートのアカデミックデータベースの整理とAIへの活用に関する研究委員会・委員会報告
岡﨑慎一郎・浅本晋吾
概要:
AI・機械学習技術のコンクリート工学への活用を推進するための基盤構築を目的として、TC 232 A『コンクリートのアカデミックデータベースの整理とAIへの活用に関する研究委員会』(委員長:岡﨑慎一郎・香川大学)が2023年度に設置された。本委員会では、国内外の既存データベースの調査、日本コンクリート工学会誌に掲載された論文の圧縮強度・収縮・炭酸化・塩害・構造に関する実験データのデジタル化、ならびに種々の機械学習アルゴリズムを用いた予測モデルの構築と検証を2年間にわたり実施した。本稿は、本委員会の活動成果の概要 を報告するものである。
キーワード:
アカデミックデータベース、機械学習、耐久性、構造性能、画像認識
球状の電気炉酸化スラグ細骨材を用いたコンクリートの製造・施工の要点
福井信行・星野泰相・廣藤義和・山田雅裕
概要:
電気炉製鋼時に副生する電気炉酸化スラグは、資源循環および天然骨材代替の観点から、コンクリート用骨材としての有効活用が期待されている。このなかで球状化処理された5~0.3mm電気炉酸化スラグ細骨材(以下、EFS5-0.3という)は安定した品質を有し、コンクリートの単位水量や乾燥収縮を低減するなどの特長がある。2024年に、製造者、レディーミクストコンクリート生産者および施工者(建設会社)で構成された研究会において「球状の電気炉酸化スラグ細骨材を用いたコンクリートの製造・施工の要点」が作成された。本稿では、同書をもとにEFS5-0.3の材料特性、配(調)合設計、製造ならびに施工上の留意点を整理・解説する。
キーワード:
電気炉酸化スラグ細骨材、球状の細骨材、資源循環、環境負荷低減、フレッシュ性状、長さ変化率
テクニカルレポート
超遅延コンクリートを用いた加圧ブリーディング管理に基づく長時間打重ね工法の構築
山口浩・幸田圭司・根本浩史
概要:
近年、首都圏におけるインフラ拡充に伴い、市街地における大規模地下構造物の構築が増加している。その施工上の課題を解決する有効な手段として、混和剤に超遅延剤を用いたコンクリートを使用し、半日以上の打重ね時間間隔を実現する工法が挙げられる。本研究では工法確立を目的に、超遅延コンクリートの要求性能を整理し、実物大実験を通して上載コンクリートの加圧によるブリーディングが表層品質に影響を及ぼすという課題を明らかにした。また、加圧ブリーディングの影響を低減するために、目標の凝結遅延時間を得るための超遅延剤添加率の考え方について考察し、ブリーディング水を型枠外に排出する施工方法を提案し、その有効性を確認した。
キーワード:
超遅延コンクリート、超遅延剤、打重ね、加圧ブリーディング、凝結遅延
特殊な形状のプレキャストコンクリート部材製造に対応する楽枠工法の実現
堀内銀・小林楓子・浅場英介・松原道彦
概要:
建設業界の労働力不足に対応するため、プレキャストコンクリート工法の普及が求められているが、型枠転用回数の少ない特殊形状のPC部材は製造時に占める鋼製型枠費の割合が大きく、PC化の採用が見送られることが課題となっている。本報告では、転用可能な鋼製のベッド型枠と安価な木製の側型枠を組み合わせた型枠技術である楽枠工法について報告する。木製の側型枠の剛性を高めてノンセパレータとし、マグネットによる固定方法を併用することで、PC工単体での製造を可能とした。製品精度はJASS 10の基準を満足し、型枠費は従来比60%削減を達成した。マグネット性能試験では、せん断および組合力下での耐力を確認し、プロジェクトへの適用により実用性を確認した。本工法の活用により、建設現場の施工工数の低減に貢献する。
キーワード:
プレキャストコンクリート、マグネット、型枠、生産性向上、特殊形状、合板面内性能
土木学会コンクリート標準示方書[施工編]における圧縮強度の検査の考え方
綾野克紀・名倉健二
概要:
コンクリートの圧縮強度は、コンクリート構造物の設計・施工において最も重要でかつ基本となる物性値である。圧縮強度は、対象に応じて、設計強度、設計基準強度、特性値、呼び強度、配合強度等、さまざまな名称で呼ばれる。また、これら相互の関係を表すために、材料係数、変動係数、不良率、生産者危険といった概念が用いられる。設計基準強度と特性値は同じ値であるが、その意味は異なる。さらに、特性値や不良率は他の分野でも一般的に用いられる用語であるが、土木学会コンクリート標準示方書では、一般とは異なる定義・用法が採られている。本稿では、【2023年制定】コンクリート標準示方書[施工編]に基づき、これらの用語で表される圧縮強度の検査の考え方について説明する。
キーワード:
設計基準強度、特性値、合格判定基準値、呼び強度、変動係数、不良率、生産者危険、正規分布
工事・プロジェクト記録
中央新幹線 笛吹川・濁川橋りょう工事における下部構造の施工について
池谷柚希・佐藤和正・正木智也・山上晶子
概要:
河川区域内RC橋脚の施工において、工程遵守を目的として、早強ポルトランドセメントを用いた高流動コンクリートに超遅延剤を添加したコンクリートを採用した。あわせて3D加工を施した曲面箱型枠および箱枠架台を適用した。超遅延剤添加率の検討および試験練りにより、打込み翌日においても約19時間の打重ね可能時間を確保できることを確認した。また、曲面箱型枠と箱枠架台の使用により、三心円錐形状の脚頭部施工において施工の省力化を図るとともに、出来形精度および品質の確保を実現した。その結果、限られた非出水期間内において下部構造の施工を完了した。
キーワード:
下部構造、早強ポルトランドセメント、高流動コンクリート、超遅延剤、曲面型枠、箱枠架台
既存躯体を活用した環境配慮型オフィス 中央日土地博多駅前ビルの設計・施工
黒瀬悠・小川剛士・東佑哉・高山一斗・奥野雄一郎・原野茂
概要:
中央日土地博多駅前ビルは、福岡市の都市開発計画エリアに位置する貸オフィスビルである。本建物は1984年に竣工した既存の鉄筋コンクリート造躯体を一部解体し、地下階から地上2階柱頭まで活用した。既存躯体を活用するために、中間階免震を採用し、既存躯体の中性化進行抑制、耐震補強および制振補強を行った。これにより解体時のCO
2
を大幅に削減し、また免震上層の新築部は鉄筋コンクリート造(一部PCa工法)のアウトフレーム架構によって建物外皮性能を高め、建物運用時のCO
2
も削減している。本報では、この環境配慮型オフィスの設計と施工の概要 について報告する。
キーワード:
既存躯体利用、増改築、中間階免震、制振補強、中性化進行抑制、プレキャスト工法、環境負荷低減
講座
建築分野におけるコンクリート充填鋼管(CFT)造入門 (3)コンクリート充填鋼管(CFT)造の施工の基本
淺岡茂
情報発信
(一社)日本コンクリート診断士会 2025年次大会(島根大会)の報告
内川善生
随筆
ある建築家からみたコンクリート
松尾和生
海外だより
インドネシアにおけるレディーミクストコンクリートの使用材料について
岡田翔音
さろん
コンクリートとの縁で観光大使になる
和美廣喜
コンクリート技士のページ
コンクリートと共に成長する
河野隆太郎
コンクリート主任技士取得まで
藤田佑紀
コンクリート診断士のページ
現場の『点』を『線』につなぐ診断士会での学び
松岡正樹
コンクリート構造物の診断業務に関わる技術営業
髙橋英孝
我が職場
呉工業高等専門学校 三村研究室の伝統的な取り組み
三村陽一
山口大学工学部建築学科 秋田研究室(建築構造学研究室)
秋田知芳