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前川宏一
2026年の年頭にあたり、会員の皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。昨年は、日本コンクリート工学会創立60周年を迎え、先達のご功績に思いを馳せ、関係各位ならびに皆様と共に節目を祝うことができましたことは、望外の喜びでありました。改めて、会員の技術と力量の不断の研鑽を支え、社会の負託に応えるという本会不変の使命を強く再確認した次第です。本会では数年先を見据え、将来構想と課題の抽出を継続的に進めています。また、2030年には、プレストレストコンクリート工学会との共催により、約28年ぶりとなるfibコングレスを京都にて開催すべく準備が始まりました。
人口減少社会において、技術者・専門家の責任と役割は一層重くなり、コンクリート技士・主任技士・診断士資格制度は、JCIの使命を具体化する中核的な仕組みを担います。制度の継続性を確保するとともに、社会でより有効に活用される環境の整備も本会の責務と捉えてきました。問題作成・評価・試験実施に携わる関係者への支援体制を強化し、施主・発注者への理解促進や受験資格制度の改善にも引き続き取り組んでまいります。
学術と技術の羅針盤が、分野の垣根を越えて挑戦的な方向へと進化していることは、環境・自然災害・エネルギーなどの議論における共通項でした。昨年には、建築・土木・地盤・セメントの各分野を横断する技術委員会が複数学会の助言を得て発足し、耐震・維持管理・施工を総合的に捉える実務者・研究者の協働体制が整いましたことは嬉しいことでした。JCIを構成する会員の裾野は、材料・設計・施工・監理・再生・改築と広く、これらを貫く「横串の情報共有の場」としての機能をさらに強化していきたいものです。また、コンクリート工学が社会経済活動に及ぼす効用を、定量的かつ可視的な形で社会に提示することも重要な課題と認識しております。
創立60周年事業と2025年盛岡年次大会が近接して開催されたことにより、海外からも多くの来賓をお迎えすることができました。ご尽力を賜りましたすべての関係者に、改めて厚く御礼申し上げます。アメリカ、韓国、台湾の各コンクリート工学会、ならびにアジアコンクリート連盟(ACF)から各会長をお迎えし、基調講演や意見交換を通じて、コンクリート製造・供給体制、資格制度、規格基準、企業行動などの地域的特質に触れ、日本のコンクリート工学の立ち位置を再認識する貴重な機会となりました。また、若手・中堅技術者や女性技術者の活躍支援、出版を含む情報発信の在り方、国際活動支援や支部活動の活性化など、多方面から貴重なご意見を頂戴しております。外部資金の獲得をはじめ、一部は既に具体的な取組みを開始しており、2030年を目途とした中期的な改善を図るべく、残る任期の間に課題の整理と実効化を進めてまいる所存です。
公益法人会計三基準に基づく事業継続性の評価が、法の趣旨に即して客観的・定量的に実施できるようになりました。本部・支部の会計担当各位のご理解と尽力に深く感謝申し上げます。なお、物価とそれに伴う事業費の上昇は本会も例外ではなく、事業経営の弾力性を確保しつつ、予算見積りの精度向上を図り、公益事業を支える事務局体制の維持・改善に努めてまいります。
結びに、本年2026年が会員各位にとりまして実り多く、健やかで良き一年となりますことを心より祈念申し上げます。
公益社団法人日本コンクリート工学会
第31代会長
まえかわ・こういち
(横浜国立大学総合学術高等研究院客員教授、東京大学名誉教授)