日本コンクリート工学会

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会長就任挨拶

第30代JCI会長に就任して

西山峰広

 2022年6月15日開催の第55回定時社員総会後の臨時理事会において、第30代日本コンクリート工学会会長に就任いたしました。二羽淳一郎先生が会長に就任されたと同時に副会長を退任し、2年間JCIの運営から離れていた私が、このパンデミックが少し落ち着いたかに見える時期に会長としてJCIの運営に再び携わるようになります。これまでの2年間、コロナ禍によりJCIの運営や活動が困難を極めたことは想像に難くありません。会員の皆様が自粛自重されながらも活発な活動を続けてこられたことに改めて敬意を表します。また、この間様々な問題に的確に対処されてきました、JCI事務局の方々にも感謝申し上げます。コロナ禍においても問題なくJCIが運営されてきたことを引き継ぎ、今後おさまりつつあるパンデミックに対して、JCIがどのように活動していくべきかを会員の皆様とともに考えながら、JCI発展のため尽力していく所存です。

 会長就任にあたり、私はまず、「コンクリート工学」2022年1月号掲載の「日本コンクリート工学会の活動と今後の展開」を熟読しました。JCIの前専務理事と、現専務理事の連名による記事です。この2年間でJCIがどのように変わったのか、変わらなかったのか、あるいは、変わろうとしているのかを知るには最適な記事でした。また、この号は、「コンクリート分野の新しい技術とビジネス~SDGs 働きがいも経済成長も~」という特集号であり、新技術ばかりではなく、基礎的研究の重要性や人との関わりにも目を向けなければならないことが示唆されています。

 2022年4月現在、コンクリート技士約49,000名、コンクリート主任技士約11,000名、コンクリート診断士約14,000名が登録されています。2022年5月12日付「日経アーキテクチュア」誌掲載の、建築・土木系読者に対するアンケート結果を一例にとると、回答者322人のうち12.5%がコンクリート技士/主任技士を、5.5%がコンクリート診断士を保有しています。また、9.7%が、今後取得したい建築資格としてコンクリート診断士を、 6.7%がコンクリート技士/主任技士を挙げています。さらには、コンクリート診断士資格保有者の42.9%が、コンクリート技士/主任技士資格保有者の46.9%が、それらの資格が実務に役立ったと回答しています。多くの方々が、JCIが運営するこれら資格を評価していることがわかります。

 私は、建築材料と鉄筋コンクリート構造の講義後、学生に質問票を提出させています。多いときで100以上の全ての質問を一覧にまとめ、回答を付して翌週配布します。多岐にわたる学生の質問に対して、コンクリートについて自分がいかに知らないことが多いかを10年以上にわたり思い知らされてきました。様々な資料を調べ、学生が理解できるような言葉を使い、回答を作成しています。今後もコンクリートの勉強を続けながら、JCIに貢献していきたいと思っております。

 最後に、「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すを上とす」は、後藤新平の言葉とされており、私と同郷である野村克也氏の言葉としても有名です。とても含蓄ある言葉であり、JCI会長としてこれを、「皆が豊かになれるは上、よいコンクリート構造物を遺すも上、よいコンクリート技術者を育てるも上とす」と言い換えて遺したいと考えています。

公益社団法人日本コンクリート工学会
第30代会長
にしやま・みねひろ
(京都大学大学院工学研究科建築学専攻 教授)

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