ホーム > JCIの紹介 > 会長の言葉 > 日本コンクリート工学会歴代会長 > 会長就任挨拶 日本コンクリート工学会の役割と取組み
丸山久一
公益社団法人日本コンクリ−ト工学会は,昨年創立50周年を迎え、これまでの活動の歴史を振り返るとともに、次の50年に向けての決意を新たにいたしました。
わが国に近代セメントが導入されてから150年余、最初の官営セメント工場が設置されてから140年余が経っています。コンクリートは、港湾整備のための護岸や防波堤および倉庫などの建物に適用されて技術開発の一歩を踏み出しました。その後、技術開発を行って種々のインフラ施設や高層建物等にも使用されるようになり、建設材料としてわが国の発展に大きく寄与してきました。
コンクリートに関する技術は、適用対象となる構造物に応じて、土木および建築分野でそれぞれ発展しておりました。より高度な技術開発の促進と、それを支える技術者の育成を目標として、関係する分野の人々の総意の下で本学会が1965年に創設されました。当初は「日本コンクリ−ト会議」と称していましたが、活動の拡大とともに、1975年には「社団法人日本コンクリート工学協会」、2011年には「公益社団法人日本コンクリート工学会」と活動内容に相応しい名称に変更して今日に至っています。
コンクリート工学に関する学術・技術の発展を担うために、学会内に研究委員会・技術委員会・標準化委員会・広報普及委員会等を設け、継続的に活動を続けるとともに、阪神大震災や東日本大震災等の巨大災害の発災に際しては、特別委員会を設け、コンクリート構造物の被災状況を迅速に調査し、社会に対して適切な提言を行うとともに、巨大災害にも耐えうる構造物の研究にも取り組み、学術・技術の発展に大きく寄与しています。
研究や技術開発の促進および技術情報の発信としては、学会誌「コンクリート工学」、和文論文集「コンクリート工学論文集」、英文論文集「Journal of Advanced Concrete Technology」を発行しています。電子情報化の進展を踏まえ、紙面のみでなく、オンラインジャーナルも併用して広く技術の普及を図っています。それに加え、毎年開催している「コンクリート工学年次大会」において,最新の研究成果を発表する場を設けるとともに,生コンセミナーでは、より良いコンクリートを製造するための様々な技術や研究を紹介し、コンクリートテクノプラザでは、企業の最新の技術や製品を展示しています。
コンクリートに携わる技術者育成としては、コンクリート技士、コンクリート主任技士およびコンクリ−ト診断士の資格認定制度を設け、多くの優れた技術者を世に送り出しています。これまでに資格を取得した方々は、コンクリート技士44,238名、コンクリート主任技士10,595名、コンクリート診断士11,667名で、よりよいコンクリートの製造、耐震性および耐久性に優れたコンクリート構造物の建造に大きく貢献しています。
高度に成熟しつつあるわが国ですが、自然災害は時期を問わず、想定を超える規模で発生しています。よりよい社会の形成に資するため、本学会はこれからも全力で種々の課題に取り組んで参りたいと考えております。皆様のご協力とご支援をお願い申し上げます。
公益社団法人日本コンクリート工学会
第27代会長
まるやま・きゅういち