ホーム > JCIの紹介 > 会長の言葉 > 日本コンクリート工学会歴代会長 > 会長就任挨拶 日本コンクリート工学会の役割とこれから
魚本健人
本学会は、1965年に「日本コンクリート会議」として誕生し、1967年に社団法人化、1975年に「社団法人 日本コンクリート工学協会」への会名変更を経て、2011年4月、新たに「公益社団法人 日本コンクリート工学会」としてスタートしました。
しかし、その僅か3週間前である2011年3月11日には「東日本大震災」が発生し、マグニチュード9.0というこれまで我が国では経験したことのない大規模な地震動のみならず、これによって引き起こされた高さ10m以上の大津波、液状化、燃料タンク火災、各地で発生した地すべり等による大被害を受けました。さらに、福島第一原子力発電所の被災により、水素爆発やメルトダウン等をも引き起こし、放射性物質による広範な汚染も発生しました。その後遺症は1年以上経過した現在も続いており、東北地方の復旧・復興はまだまだ時間がかかるものと思われます。
また、昨年は大震災以外にも、その後の多くの余震による災害や、台風12号および15号による土砂災害、積雪による雪崩災害など多くの自然災害が発生し、多くの方々が被害を受けました。
幸いいずれの災害でもコンクリート構造物の被害は軽微な損傷ですんだものが多く、住民の防災・減災に対して役立ったと考えています。その結果、「コンクリート」で作られた多くの構造物の重要性を世間に示すことができたものと確信しております。
しかし、今回のような想定外の災害に対し、どのように対処すべきであるかは、技術者である我々にとって大きな課題を突きつけられたということが言えます。
本学会は、コンクリート工学の学術・技術の発展に貢献するとともに、コンクリート技士・コンクリート主任技士、コンクリート診断士制度を創設し、多くの技士、主任技士、診断士を認定し、世に送り出してきました。これらの認定技術者は、より品質の高いコンクリート構造物を建設するばかりでなく、既設構造物の適切な維持管理業務を通じ、社会資本の整備に大きな役割を果たしてまいりました。今後も今まで以上に最新の研究情報・技術情報・国際情報の発信、紹介などコンクリート技術の普及に努めてまいります。
今回発生しました東日本大震災からの復旧・復興は、日本社会の責務であり、私たち「日本コンクリート工学会」は、会員の皆様とともにコンクリート工学およびコンクリート技術を通して、安全・安心な社会基盤を整備し、復旧・復興に貢献いたします。
公益社団法人日本コンクリート工学会
第25代会長
うおもと・たけと