ホーム > JCIの紹介 > 会長の言葉 > 日本コンクリート工学会歴代会長 > 日本コンクリート工学協会から日本コンクリート工学会へ
桝田佳寛
明けましておめでとうございます。平成23 年の年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げるとともに、本年が本会会員の皆様ならびに本誌読者の皆様にとりまして良い年でありますよう心からお祈り申し上げます。
JCI は、本年「社団法人(特例民法法人)日本コンクリート工学協会」から「公益社団法人日本コンクリート工学会」に移行し、新たな出発をいたします。これまで公益法人と認められていた財団法人や社団法人は、平成20 年12 月に施行された法律によって、すべて一旦特例民法法人になり、その後、公益法人になるか一般法人になるかの選択を迫られています。JCI はこの問題に対応するために、2008 年4月「公益法人制度改革対応委員会」を設置し、行政府の窓口とも相談しながら種々の問題点について回を重ねて審議し、「公益社団法人」に移行するという結論に達し、昨年8 月に公益認定等委員会に申請しました。公益社団法人への移行にあたっては、定款を改正し、名称の変更、事業の追加、学生会員の設置、代議員制の導入などを実施することを昨年の通常総会で決議しました。
名称は、工学協会から工学会に変わります。しかし、JCI の活動は当面変更はないと認識しています。JCI の活動を規定するものとして定款に事業が規定されています。旧定款には8 つの事業が記載されていましたが、新定款には11 の事業が記載されています。しかし、これはJCI の事業内容が変わったのではなく、公益認定基準に示された公益目的事業の種類と整合するように整理し直したためであります。JCI の使命は、コンクリートに関する調査・研究を基本とし、出版や講習会・シンポジウムの実施による研究成果の普及、規格・規準の制定への応用、コンクリートに関する技術の向上を図るための資格付与と教育にあり、これらの目的や活動内容が変わることはありません。
JCI の活動は、本来公益的な活動であり、公益法人へ移行すべきであることは言うまでもないのですが、対応委員会が回を重ねて審議した理由とその審議内容は、JCI の事業のうちの大きい柱である資格付与事業において収支の均衡が取れていないことをどうするかということでした。JCI は、今日コンクリートに関する学術団体として不動の地位を占めておりますが、この学術団体としての地位は、コンクリートに関する活発な研究委員会の活動ならびにその成果の普及活動によって社会的に認知されてきたと考えられます。そして、この活発な研究委員会の活動を経済的に支えているのが資格付与事業からもたらされる収益でありました。資格付与事業の収支を均衡させるという選択肢は、研究委員会の活動を萎縮させることにつながると考えられます。JCI が認定しているコンクリート技士・主任技士ならびにコンクリート診断士の資格は、民間資格でありながら、社会的に高い評価を受けています。国家資格は、法律に基づくものであり、いわば権力による裏付けがなされているわけですが、民間資格は、それを認定する団体の権威によって支えられていると考えられます。
JCI は、本年、工学協会から工学会に変わりますが、学術団体としての色彩だけを強めるのではなく、資格付与事業や関連する教育にも重点をおいて活動していきたいと考えていますので、皆様のご支援・ご協力をお願いいたします。
社団法人日本コンクリート工学協会
第24代会長
ますだ・よしひろ
(宇都宮大学工学研究科地球環境デザイン専攻 教授)