ホーム > JCIの紹介 > 沿革 > 日本コンクリート工学会50年のあゆみ > 第3編 事業 5. 国際的協力および交流
(1)ACI(American Concrete Institute)
日本コンクリート工学会は、1961年に設立された「ACI(American Concrete Institute:アメリカコンクリート工学協会)日本支部」がその始まりである。その後、ACI とは緊密な関係を保ってきた。2011年ACI秋季大会(オハイオ州のシンシナチ)で、ACI 日本支部設立50周年記念パーティーが盛大に開催された(写真)。ACI 大会には、JCI から毎回担当委員が派遣され、International Partnerships &Publications Committee の委員として、ACI および世界各国のコンクリートの代表者と情報交換を行ってきた。また、JCIの委員会報告が翻訳され、「SeismicRehabilitation of Concrete Structures, 2007」がACI から出版されている。2012年9月にACI のWight 会長、Burg 副会長がJCI を訪問した。その際、JCI とACI で共同事業を推進することについて合意がなされ、「JCI とACI との共同事業の促進に関する委員会」が設立された。この成果として、第1回ACI & JCI ジョイントセミナーが2014年7月にハワイで開催された(写真)。第2回目のセミナーは、2015年7月に日本で行われる。
ACI日本支部創立50周年記念パーティー (2011年10月,シンシナティにて) |
第1回ACI & JCIジョイントセミナー (2014年7月,ハワイ島にて) |
(2)fib (国際コンクリート連合)
fib(Fédération internationale du béton)は、1998年に、CEB (Comité euro-international du béton)とFIP(Fédération internationale de la précontrainte)が統合して創設された構造コンクリートに関する国際組織であり、40数カ国のコンクリート関連組織、個人、及び法人会員からなる。その創設時には、10のCommission が設置され、その後できたいくつかのTG で活動を続けていたが、2015年からそれらを統合して新たな枠組みの9つの委員会がスタートした。JCI は、PC 工学会と共にfib 創設時より日本の代表会員組織として活発な活動を続けてきた。具体的には、JCI 国際委員会からの日本代表等が、委員会の委員長・副委員長・幹事、プレジディアムメンバー、技術評議会副委員長等を務めると共に、2013年に発刊されたfib モデルコード2010では原稿執筆者として貢献した。また、2002年には、第1回fib コングレスをPC 技術協会(現、PC 工学会)と共同で開催した。JCI が2013年に東京で創設した「コンクリートサステイナビリティに関する国際会議」には、fib から、会長のGordon Clark 氏、副会長のHarald Müller 教授、及び前会長のGyörgyBalázs 教授が参加した。
(3)RILEM(International Union of Testing and Research Laboratories for Materials and Structures、建設材料・構造に関わる国際研究機関・専門家連合)
RILEM は、建設材料・構造および試験方法に関する国際的な調査研究活動を行っている学術団体であり、JCI は、1982年に団体賛助会員として入会を申し込み、1983年1月に入会を承認された。それ以降、多くのJCI 会員がRILEM の個人会員となって、RILEM の調査研究活動に貢献してきた。2007年9月には、JCI はRILEM と交流協定を結び、JCI からTAC(Technical Activity Committee、RILEMの研究活動を管理する委員会)へ委員を派遣することが協定書に盛り込まれた。その後、JCI を代表する委員は、TAC において、RILEM との間で研究調査活動に関する情報交換を行ったり、様々な研究集会のJCI とRILEM との共同開催についての協議を行ったりするとともに、メダリスト選考委員や特定研究分野群の議長などを歴任してきている。また、2014年以降のRILEM の組織改革により、全世界は8つの地域に分けられ、日本はAsia/China 地域に属することとなった。この組織改革に伴って、長年の間、国立研究開発法人・建築研究所所長が任を務めてきたNational Delegate というポジションは、National Convener に移行することとなり、今後は、国立研究開発法人・建築研究所所長以外の専門家がその任を務めることとなった。
(4)ACF(Asian Concrete Federation アジアコンクリート連盟)
アジアコンクリート連盟(ACF)は、2000年にJCI の呼びかけで札幌でのJCI 年次大会に合わせて設立されたアジアコンクリートフォーラムでの4年間の議論に基づき、2004年にアジア各国のコンクリート関連の7つの国内団体の連合体として、設立された。JCI がACF の設立を主導したこともあり、初代と3代会長はJCI 代表のACF 理事である魚本健人教授と上田多門教授が務めている。ACF はその後参加団体を増やし、2015年時点では、10の各国国内団体(CIA、HAKI、ICI、JCI、KCI、MCA、SCI、TCA、TCI、VCA)が参加している。
ACF は、2012年にアジアコンクリートモデルコード国際委員会(ICCMC)との併合を決定し、2年をかけて併合作業を終えた。ICCMC も、JCIの研究委員会を母体に、JCI の提唱で1994年に設立された国際委員会である。アジアコンクリートモデル(ACMC)の作成、更新、普及が目的で、2001年に初版であるACMC 2001を発刊し、ACF との併合後にACMC 2014を発刊した。モデルコードに関する活動はACF の主たる活動の一つで、ACMCは、アジア各国の国内標準やISO 標準、fib のMC2010にも影響を与えている。
ACF はこれ以外にも、サステナビィリティフォーラムの開催、国際会議の定期的開催、ニュースレターやウェブサイトによる情報発信、技術委員会の運営など種々の活動を実施中で、それぞれにおいてJCI あるいはJCI 会員が活動の主体となっている。JCI の国際戦略としてACF を通してのアジアとの協働があることから、今後もJCI のACF 対応委員会を核として、ACF との密な連携が期待される。
札幌でのアジアコンクリートフォーラム |
ACMC 2014 |
(5)ISO/TC71対応委員会
JCI は、1995年にISO/TC71の審議団体としてISO/TC71対応委員会を設置して活動を始めたが、今日までの20年でその活動は極めて活発なものとなっている。現在ISO/TC71には、SC1(コンクリートの試験方法)、SC3(コンクリートの製造及びコンクリート構造物の施工)、SC4(構造用コンクリートの要求性能)、SC5(コンクリート構造物の簡易設計標準)、SC6(コンクリート構造物の新しい補強材)、SC7(コンクリート構造物の維持及び補修)、及びSC8(コンクリート及びコンクリート構造物の環境マネジメント)があり、日本はいずれにも参画している。この内、SC6とSC8は日本が立ち上げたSC で幹事国を務めており、SC7設置にも日本が大きく貢献した。現在、SC6、SC7、及びSC8の議長は日本が務めており、それぞれのSC が開発した規格の数は、3つ、5つ、及び2つであり、現在多くの規格がCD(委員会原案)、DIS(国際規格原案)、FDIS(最終国際規格案)レベルで審議されている。SC1及びSC3は、これまでヨーロッパが主導してきているので、規格原案のほとんどがCEN で開発されたEN 規格であり、日本のJIS 規格と合致しないものが少なくなく、日本が実務で困らないように注意深く審議し、修正に注力している。
(6)その他の各協定団体との交流
KCI(韓国コンクリート学会)とは、1993年5月に交流協定を締結して以来様々な交流を重ねてきたが、2006年から1年間の準備委員会を含む3年間「既存コンクリート構造物の性能評価」に関する合同研究委員会活動を実施した。年1回ずつお互いの国を訪問して開催された合同委員会の成果は、ISO16311-2の原案作成に活かされた。また、2008年から2年に一度ずつ、台湾コンクリート学会(TCI)を交えたJCI-KCI-TCI シンポジウムを各国持ち回りで開催した。
2005年に国際パートナー協定を締結したメキシコのセメント・コンクリート学会(IMCYC)の招きにより、2012年に阪田憲次・(当時)JCI 前会長と丸山久一・(同)JCI 副会長がメキシコへ赴き、国際フォーラムで招待講演を行った。また、2006年に国際パートナー協定を締結したブラジルコンクリート学会(IBRACON)の招きにより、2008年に長瀧重義・JCI 元会長がブラジルへ赴き、国際シンポジウムで招待講演を行った。
JCI-KCI-TCIシンポジュウム(2012.7/広島) |
(7)第3回持続可能な社会を目指す建設材料技術に関する国際会議(SCMT3)
実行委員長 宮川 豊章
本会議は、2013年8月18日(日)から21日(水)の4日間、京都リサーチパークを会場に、コンクリートのリサイクル、環境負荷低減技術、維持管理および長寿命化をテーマとして開催された。論文数は、381編で、参加者数は、40カ国から457名の登録者と49名の同伴者を含む506名であった。会議では、一般セッションに加え、Ravindra Gettu 教授、濵田秀則教授、河合研至教授、Jan Olek 教授の業績を讃えるオナリーセッションと、各セッションに関係する21題の基調講演が行われた。
「阪神・淡路大震災記念」人と防災未来センターでの見学会 |
(8)コンクリートサステイナビリティに関する国際会議(ICCS13)
組織委員会委員長:堺孝司
JCI は、2013年5月27日~29日にJCI として初めて創設した「コンクリートサステイナビリティに関する国際会議」を開催した。本会議では、fib のGordon Clark 会長、ACI のAnne M. Ellis 会長、そしてRILEM のNicolas Roussel 名誉会長が基調講演者として参加した。本国際会議は、JCI 国際委員会内に設置したICCS 運営評議会が運営を図るが、第2回会議は2016年6月13日~15日にスペインのマドリードで開催することになっている。
主催・共催した主な国際会議
開催期日 | 講演会・シンポジウム・講習会名 | 開催場所 |
1994.12 | JCI/KCI ジョイントセミナー | 韓国・ソウル |
1997.10.14 | 連続繊維補強材を用いたコンクリートに関する国際シンポジウム | 札幌 |
1998.7.16 | JCI/KCI ジョイントセミナー「日本・韓国におけるコンクリート技術の現状」 | 東京 |
1999.3.17~18 | 「アジアにおけるコンクリートモデルコード」に関するIABSE コロキウム | プーケット(タイ王国) |
2000.6.5 | 「耐震補強の評価に関する研究委員会」報告会および「コンクリート構造物の耐震補強-研究と実施-」に関する日米シンポジウム | 大東京火災ホール(東京新宿) |
2000.11 | JCI/KCI ジョイントセミナー | 韓国・慶州 |
2002.10.13~18 | fib 大阪コングレス | 大阪国際会議場(大阪国際会議場) |
2002.10.21~22 | 国際ワークショップ「高靭性セメント複合材料の適用と評価」(JCI International Workshop on Ductile Fiber Reinforced Cementitious Composites-Application and Evaluation-) | 高山グリーンホテル(岐阜県高山市) |
2003.7.14~15 | 国際シンポジウム「コンクリート構造物補強工法の最新技術と研究-接着界面の力学と構造性能-」(JCI International Symposium Latest Achievement in Technology and Research on Retrofitting Concrete Structures - Interface Mechanics and Structural Performance-) | 京大会館(京都市左京区) |
2004.7 | JCI/KCI ジョイントセミナー | 高知 |
2008.9.30~10.2 | 第8回コンクリートとコンクリート構造物のクリープ、収縮及び耐久性力学に関する国際会議( Concreep 8) 9th International Conference on Creep, Shrinkage and Durability of Concrete and Concrete Structures |
志摩観光ホテル(三重県志摩市) |
2008.10.27~ 10.29 |
第8回高性能・高靭性コンクリートに関する国際シンポジウム(8th International Symposium on Utilization of High-Strength and High-Performance Concrete) | 都市センターホテル(東京都千代田区) |
2009.8.24~26 | 第4回建設材料に関する国際会議(ConMat ’09) 4th International Conference on Construction Materials : Performance、Innovations and Structural Implications |
名古屋国際会議場(名古屋市熱田区) |
2010.12.13~14 | 「性能指向型耐震補強研究委員会」報告会および「コンクリート構造物の耐震補強」JCI-ACI 国際ワークショップ | 政策研究大学院大学 想海楼ホール(東京都港区) |
2012.2.2~4 | 第3回建設分野におけるFRP に関するアジア太平洋国際会議(APFIS 2012) The Third Asia-Pacific Conference on FRP in Structures |
北海道大学 学術交流会館 |
2012.7.2 | 第3回JCI-KCI-TCI 合同シンポジウム | 中国電力(株)小町クラブ6F 会議室(広島市中区) |
2013.5.27~29 | First International Conference on Concrete Sustainability(第1回コンクリートサステナビリティに関する国際会議) | 都市センターホテル(東京都千代田区) |
2013.8.19~21 | 第3回持続可能な社会を目指す建設材料技術に関する国際会議 SCMT3 3rd International Conference on Sustainable Construction Materials and Technology - SCMT3 |
京都リサーチパーク(京都市下京区) |
2014.7.17 | ACI-JCI ジョイントセミナー | Hapuna Beach Prince Hotel,Hawaii |
2015.6.1~6.3 | International Conference on the Regeneration and Conservation ofConcrete Structures(RCCS、コンクリート構造物の再生および保全に関する国際会議) | 長崎ブリックホール(長崎県長崎市) |