日本コンクリート工学会

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日本コンクリート工学会50年のあゆみ

第3編 事業

3. 会誌・図書等の発行

(1)会誌・論文集の発行
本会では会誌『コンクリート工学』を毎月1回刊行し、会員に頒布している。会誌は、現在は会員には発刊1年後に、非会員には3年後に無料で電子公開されている(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/coj/-char/ja/)。
『コンクリート工学』は、日本ACI の機関誌『コンクリートジャーナル』を本会が引き継いだもので、当初は隔月刊であったが、1965年9月号より月刊に改め、1975年1月号より会誌名を『コンクリート工学(英文名Concrete Journal)』に改称し、現在に至っている。このような経緯から、『コンクリート工学』は1963年2月発行の『コンクリートジャーナル』の第1巻第1号をNo.1として通し番号がつけられており、2015年7月号は第53巻7号(Vol.53No.7)であるが、通し番号はNo.598となっている。
会誌の内容は、日本ACI の時はACI の文献紹介が主であったが、現在では普通号は巻頭言、TOPICS、解説、テクニカルレポート、工事記録、講座、文献調査、随筆、海外だより、国際情報、ニュース、さろん、国際会議案内、コンクリート技士のページ、コンクリート診断士のページ、我が職場などで構成された多彩なものとなっている。1966年からは、その時代に相応しいテーマを取り上げた特集号が企画され、コンクリートに関する技術情報の把握に役立つと共に貴重な研究資料ならびに技術資料となっている。これまでの特集号のテーマは、ホームページにまとめられて一覧として掲載されている(https://www.jci-net.or.jp/j/publish/bulletin/special.html)。なお、会誌の編集には「コンクリート工学編集委員会」が当たっている。
また、本会では、設立初期から「文献抄録委員会」によって選ばれたコンクリート工学に関する文献のリスト化と主要文献の抄録が長らく続けられていたが、1989年に「文献抄録委員会」は「文献調査委員会」と名称が変更され、その調査結果を会誌に掲載することとなった。
以前は、会誌には研究論文も掲載されており、1976年には論文審査委員会が設置された。この委員会は1986年に「コンクリート工学論文審査委員会」と名称が変更され、1989年からは「コンクリート工学論文集編集委員会」となり、別冊の『コンクリート工学論文集』を年2回刊行して会員全員に頒布することとなった。その後、『コンクリート工学論文集』は論文数の増加への対処と論文投稿から掲載までの期間短縮のため、1999年より年3回刊行することとなった。また、1979年の年次講演会の開催を期に、会誌『コンクリート工学』、『年次講演会論文集』、『コンクリート工学論文集』および各種シンポジウムの発表論文を対象として、英文化した論文を収録した『Transactions of the Japan Concrete Institute』を毎年刊行することとなった。これは、海外の著名な研究機関および研究者に寄贈されるとともに、一部販売もされた。『Transactions of the Japan Concrete Institute』は、2001年にVol.23をもって廃刊となり、代わりに2003年4月より、英文論文誌『Journal of Advanced Concrete Technology Advanced Concrete Technology(ACT)』を毎年3回刊行することとなった。以来、「ACT 編集委員会」が設置され、その編集に当たっている。『コンクリート工学論文集』と『ACT』は、2012年に冊子版を廃止してオンラインジャーナルのみでの発行とし、発行と同時に無料で電子公開することになった(https://www.jci-net.or.jp/j/publish/reprint/release.html)。

会誌・論文集 Image
日本コンクリート工学会が発行した会誌・論文集 左から、コンクリートジャーナル(1965年9月号Vol.3No.5)、コンクリート工学(1975年1月号Vol.13No.1・500号) 、コ ンクリート工学(2007年5月号Vol.45No.5)コンクリート工学論文集(2008年発行Vol.19No.1) 、Transactions of the Japan Concrete Institute (2003年発行Vol.1No.1)

(2)図書
本会では、これまでに単行本、指針・規準類、論文集、シンポジウム論文集、委員会報告書、国際セミナー、講習会テキスト等の多くの図書を刊行している。これらの図書の編集・刊行には、それぞれに設置された委員会があたっている。本会が発行した図書は1967年の『ACI コンクリート検査便覧』に始まる。その後も数多くの図書が発行されており、その一覧はホームページの資料編の刊行物一覧に示されており、現在も販売されているものについてはホームページ(https://www.jci-net.or.jp/j/publish/book/list_201910.html)に掲載されている。
 以下に、主だった図書についてとりあげる。
コンクリート工学に関する知見を網羅的に解説した技術書である『コンクリート便覧』(技報堂)は、創立10周年記念出版として編纂され、1976年に発行された。その後、創立30周年記念事業の一環として、1996年に全面改訂された。実用的、啓発的な基本技術書のシリーズ『コンクリート工学ブックス』は、1980年発行の『楽しく読める鉄筋コンクリートのはなし』から1990年の『コンクリート工事の施工技術』まで全6冊が刊行された。2001年には、文献調査委員会(1965~1989年の名称は文献抄録委員会)が行った文献調査について一冊の図書にまとめた『世界のコンクリート技術(1989~2000)』が刊行されている。
コンクリート構造物のひび割れに関する指針としてわが国において広く用いられている『コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針』は、1980年に発行された『コンクリートのひび割れ調査、補修指針』(案)に、1987年に補修工法に加えて補強工事の追補を行って『コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針』に改められたものである。その後も、2003年、2009年、2013年に、社会状況に合致する内容に改訂されている。また、1986年には『マスコンクリートのひび割れ制御指針』の初版が発行され、2008年に改訂版が発行されている。また、この二つの指針(それぞれ2009年版と2008年版)は英訳もされている。2004年には、研究専門委員会の活動成果として提案された規準類を集大成した『JCI 規準集(1977-2002)』が刊行され、アーカイブスとしても貴重なものとなっている。
本会では、1968年に発行された『最新のコンクリート技術』をはじめとして、講習会テキストも数多く発行しているが、『コンクリート技術の要点』は1976年より毎年、『コンクリート診断技術』が2016年より毎年、現在まで継続して発行されている。なお、1982年に「日本コンクリート工学協会指針及び同規準の制定等に関する手続」を定め、指針にはJCI-R、規準にはJCI-S の記号を付し、刊行物の様式の統一をはかることとなっている。委員会の成果報告の一環として行われるシンポジウムの論文集には、委員会報告を意味するJCI-C の記号を付すことになった。

ACIコンクリート検査便覧 Image コンクリート便覧・第一版 Image 世界のコンクリート技術 Image コンクリートのひび割れ調査,補修指針(案) Image
ACIコンクリート検査便覧
(1967年)
コンクリート便覧・第一版
(1977年)
世界のコンクリート技術
(2001年)
コンクリートのひび割れ調査,補修指針(案)
(1980年)

(3)ビデオ・DVD・写真集
コンクリートの本質と正しい扱い方を理解してもらうには映像を用いた視聴覚教材が効果的であることから、本会においても1982年に「コンクリート視聴覚教材」制作委員会が設置された。この委員会では、学生や若い技術者を主な対象としたビデオ教育講座シリーズ『良いコンクリート・悪いコンクリート』(総集編を含めて全6巻)を、1983年から1996年にかけて順次発行した。また、2015年には創立50周年記念事業としてDVD が制作され、『コンクリートの基礎知識』は『良いコンクリート・悪いコンクリート』をひきつぎ、コンクリートに関する基礎的な技術について扱っている。またDVD『コンクリート技術の最前線’15』は、近年の技術の映像をとりまとめた内容となっている。
2006年には、創立40周年記念出版として、国内の歴史的コンクリート構造物や優れたコンクリート構造物、わが国で創出あるいは発展した技術を写真集の形で紹介した『日本のコンクリート100年』が制作された。創立50周年記念事業においてもWeb 写真集『くらしのなかのコンクリート』が制作されており、『日本のコンクリート100年』に掲載されたコンクリート構造物に、その後10年間に建設された代表的もしくは優れたコンクリート構造物が付け加えられたものとなっている。

日本コンクリート工学会のDVD Image 日本のコンクリート100年 Image
創立50周年記念で制作された
日本コンクリート工学会のDVD
(2015年)
日本のコンクリート100年
(2015年)

(4)ソフトウエア
本会では、建設技術者やコンクリート技術者を対象として、コンクリート構造物に関するソフトウエアを制作・頒布している。これまでに、『マスコンクリートの温度応力計算用プログラム』、『コンクリート工事のチェックリスト』、『コンクリートのひび割れ調査・原因推定ソフト』、『コンクリート構造物の長期性能シミュレーションプログラム』などが発行されている。このうち、1985年に初版が発行された『マスコンクリートの温度応力計算用プログラム』は、発行後もマスコンクリートソフト作成委員会によりバージョンアップや動作環境の整備、ひび割れ幅解析や3次元温度応力解析の追加などがなされ、現在も『JCMAC シリーズ』として販売もしくはレンタルで提供されている(http://www.jcmac.jp/index.html)。

JMAC3の出力例 Image
マスコンクリート3次元温度応力解析プログラム(JCMAC3)の出力例

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