日本コンクリート工学会

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2021年1月号

「接合部を有するプレキャスト・プレストレストコンクリート構造の設計法研究委員会」活動概要

建設分野における生産性向上に関する様々な取組みがなされている中,コンクリート構造物の建設におけるプレキャスト(以下PCa)構造の適用は,関連する労働者の減少や建設費用・工期の縮減等の社会ニーズへの効果的な方策と考えられています。例えば建築分野では,PCa部材の適用は,性能認証した機械式継手を接合部に用いて現場打ち(一体打ち)コンクリートと同等の性能を有するとして構造設計されることで,中高層建物等において多くの実績があります。一方,土木分野では,PCa部材はボックスカルバート等,一部の構造で使用されていますが,さらなる生産性向上にはPCa構造の適用範囲の拡大も求められています。いずれの構造においても,PCa構造ならびにプレキャスト・プレストレストコンクリート(以下PCaPC)構造で必然となる「接合部」(図-1)を適切に設計,施工する必要があります。
本学会では,この課題に対して,「接合部を有するプレキャスト・プレストレストコンクリート構造の設計法研究委員会(委員長:三木朋広,神戸大学)」を設置し,2018年から2年間活動しました。この活動では,PCa構造ならびにPCaPC構造の設計,特にPCa部材の接合に関連する国内外の土木,建築分野の基準類,研究動向を調査し,設計における接合部の考え方を整理しました。また,研究開発された比較的新しい技術,今後適用することが期待される構造を調査しました。さらに,設計と施工の事例を調査し,接合方法が採用された理由や経緯を調べて,土木,建築分野における傾向を整理しました。
本稿では,2018年度から2年間にわたる標記委員会の活動成果の概要をご紹介するとともに,2021年3月に開催するオンライン成果報告会についてご案内いたします。

執筆者:情報コミュニケ―ション委員会 委員
竹内 崇(神戸大学)
(接合部を有するプレキャスト・プレストレストコンクリート構造の設計法研究委員会 幹事)

図-1 接合部の領域範囲に関する考え方の一例 img
図-1 接合部の領域範囲に関する考え方の一例

※会員専用ページには「増刊コンクリート技術2021年1月号」として,本記事のより詳細な内容が掲載されています。そちらもご覧ください。
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設置されたWGの活動概要

本研究委員会の活動目的は,以下の4点です。それぞれ,以下に併せて示すWGに分かれて調査研究を行いました。

1)PCa構造の設計基準類の比較による現状把握(基準類WG)
PCa部材の接合(PCa構造と現場打ちコンクリート間,ならびにPCa部材間)に関する国内,海外の設計基準類,ならびにそれらの根拠研究に関する情報収集,設計事例収集

2)PCa構造における接合部の性能評価(性能評価WG)
接合部を含む構造性能の明確化,構造一体性の評価に資する研究動向の調査

3)PCa構造に関連する今後,適用が期待される構造(新構造・新材料WG)
建築・土木分野で今後適用が期待される構造および新材料に関する調査

4)接合部の設計施工内容の把握と課題抽出を目的とした設計施工事例(設計施工WG)
PCa部材同士,またはPCa部材と他部材との接合部を含む部材または構造物,構法を対象とした接合部の設計施工内容の把握,ならびに課題抽出を目的とした設計施工事例の調査


委員会報告会の開催

本研究委員会の成果を多くの方にご紹介するために,このたびオンライン報告会を開催いたします。報告会では,報告書各章を概説し,土木,建築両分野における動向を紹介します。報告会の最後には,本委員会委員がパネリストとして参加するパネルディスカッションを行い,委員会で議論した内容の一部を参加者の皆様と共有する場とすることができればと考えています。関係の皆様には,お誘い合わせの上,ふるってご参加下さいますよう,何卒よろしくお願い申し上げます。

■「接合部を有するプレキャスト・プレストレストコンクリート構造の設計法研究委員会」報告会
配信期間:2021年3月13日(土)~3月21日(日)
配信方式:オンデマンド配信(各報告およびパネルディスカッションの録画映像を期間中いつでも閲覧いただけます)

(10分) 開会挨拶および全体概要について
三木 朋広(神戸大学)
(50分) 委員会報告(1):第2章「プレキャスト接合部に関する基準類」
大島 義信(ナカノフドー建設)
丸田 誠(静岡理工科大学)
(50分) 委員会報告(2):第3章「接合部の耐荷機構と評価式,ならびに適用事例」
谷 昌典(京都大学)
小坂 崇(阪神高速道路)
竹内 崇(神戸大学)
(50分) 委員会報告(3):第4章「今後,適用が期待される構造」
坂田 博史(建研)
大窪 一正(鹿島建設)
(50分) 委員会報告(4):第5章「プレキャスト構造の設計施工事例」
市澤 勇彦(ピーエス三菱)
大城 壮司(西日本高速道路)
(60分) パネルディスカッション 「プレキャスト構造の設計,施工に関する現状と今後の展望」

(内容および時間は,都合により変更することがありますので,あらかじめご了承ください。)

※プログラム・申込方法などの詳細はこちらをご覧ください。
https://www.jci-net.or.jp/j/events/symposium/index.html

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