ホーム > コンクリートについて > 月刊コンクリート技術 > 2016年4月号(2)
現在,日本の道路は道路統計年報2014によると,120.9万kmで,そのうち,アスファルト舗装が22.8%,簡易アスファルト舗装53.8%,コンクリート舗装4.5%,未舗装18.9%となっています。(図-1)
国土交通省は,社会資本整備を推進させ,アスファルトの高騰と供給不安の緩和させるため,適材適所でコンクリート舗装を採用する方針を打ち出しました。これに呼応して,全国生コンクリート工業組合連合会は,コンクリート舗装推進会議を設立し,コンクリート舗装推進に向けた取り組みが行われています。
また、セメント協会と全国生コンクリート工業組合連合会は協力し、コンクリート舗装のカタログ、技術資料と専用のホームページを作成し、広報を行っております。それをもとに、ここではコンクリート舗装についてご紹介いたします。
最新情報として,コンクリートの欠点であった,早期開放を可能としたセメント協会開発の1DAY PAVE(ワンデイペイブ)などが注目され,各地で施工実施されています。
舗装の一般的な呼び方は,舗装部分の材料により,アスファルト舗装,コンクリート舗装,及び簡易舗装に区分されます。コンクリート舗装は,別名をセメント・コンクリート舗装,セメント舗装とも呼ばれています。
コンクリート舗装の長所として,丈夫で長持ち,ライフサイクルコストの削減,路面の照明効率向上,路面温度の上昇抑制,維持管理費の削減,大型車の燃費低減があります。
欠点として,アスファルト舗装と比較して早期交通開放が難しい,補修が難しい,目地部の乗り心地が悪いなどがあります。この欠点も少しずつ改善され,早期交通開放可能の1DAY PAVE,騒音を低減できるポーラスコンクリートなどが新たに技術開発されています。
ライフサイクルコスト(Life cycle cost)とは,製品や構造物などの費用を,調達・製造~使用~廃棄の段階をトータルとして考えたもので,英語の頭文字からLCCと略しています。
2013年3月に国土交通省では,設計業務等共通仕様書(案)の一部改正を行い,諸条件等を考慮し,舗装(アスファルト舗装/コンクリート舗装等)の比較検討のうえ,舗装の種類・構成を決定し,設計するものとしました。
ライフサイクルコストの算定は,日本道路協会の舗装設計施工指針 2006のライフサイクルコストの算定方法を参考にして行われます。
セメント協会の既存コンクリート舗装のライフサイクルコスト調査結果2009に,一例として東北地方の国道の供用中のコンクリート舗装を紹介しています。図-2(ライフサイクルコストの試算例)では、コンクリート舗装は,供用期間内には修繕履歴がありませんでしたが,隣接するアスファルト舗装は2度の修繕が行われていました。同じ供用期間内でアスファルト舗装が1度切削オーバーレイを行うとコンクリート舗装より高くなる結果となっています。
コンクリート舗装の種別は,図-3に示す通りスランプとの組み合わせで区分されています。また,表-1に示すJIS A 5308レディーミクストコンクリートにおいては,コンクリートの種類を4つに区分し,さらに,呼び強度,粗骨材最大寸法,スランプ及びスランプフローの組み合わせにより,コンクリートの種類を定めています。
JIS A 5308の規格品の舗装コンクリートは,普通コンクリート舗装,連続鉄筋コンクリート舗装などに使用されています。また、普通コンクリートは生コン舗装に用いられ,生活道路,歩道,駐車場など用途は様々となっています。
早期開放型1DAY PAVEについては,スランプのほかにスランプフローなどを用い,転圧コンクリート,ポーラスコンクリートなどでは,施工性をもとにスランプを定めています。
コンクリートの種類 | 粗骨材の最大寸去 mm |
スランプ又はスランプフロー cm |
呼び強度 | |||||||||||||
18 | 21 | 24 | 27 | 30 | 33 | 36 | 40 | 42 | 45 | 50 | 55 | 60 | 曲げ 4.5 |
|||
普通コンクリート | 20,25 | 8,10,12,15,18 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | - | - |
21 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | - | - | |||
40 | 5,8,10,12,15 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
軽量コンクリート | 15 | 8,10,12,15,18,21 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | - | - | - | - |
舗装コンクリート | 20,25,40 | 2.5,6.5 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ○ |
高強度コンクリート | 20,25 | 10,15,18 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ○ | - | - | - |
50,60 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ○ | ○ | ○ | - | ||
注)荷卸し地点での値であり,50cm及び60cmはスランプフローの値である。 |
コンクリート舗装の種別は,舗装の用途と工法によって区分されます。
普通道路は,大型車の通行を想定し,標準荷重を49kN/mm2,設計期間を20年としています。もっぱら小型車などの運行道路は,小型道路となり17kN/mm2を想定しています。
[普通コンクリート舗装] 特長:一般的なコンクリート舗装 用途:道路,空港,ヤードなど |
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[連続鉄筋コンクリート舗装] 特長:収縮目地のないコンクリート舗装 用途:道路,空港,ヤードなど |
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[早期交通開放型コンクリート舗装] 特長:打設後1日の早期交通開放性 用途:交差点やバス停などの補修又は打換え |
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[生コン舗装] 特長:安全で簡易な人力施工性 用途:生活道路,歩道,駐車場など |
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[コンポジット舗装] 特長:コンクリート基層+アスファルト表層 用途:道路,空港,ヤードなど |
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[ホワイトトッピング舗装] 特長:アスファルト基層+コンクリート表層 用途:アスファルト舗装の補修など |
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[ポーラスコンクリート舗装] 特長:透水性のあるコンクリート舗装 用途:透水又は低騒音性舗装など |
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[転圧コンクリート舗装] 特長:アスファルト舗設機械による転圧工法 用途:道路,ヤードなど |
鉄筋を連続的に配置し,コンクリート版のひび割れを分散させることで,コンクリート版の横目地を省略することができます。普通のコンクリート舗装に比べ乗り心地が改善されます。 | |
アジテータートラックから横取り機でコンクリートを荷卸しします。引き続きスプレッター,フィニシャー,レベラーの各機械によりコンクリートを敷設していきます。 |
早期交通開放型コンクリート舗装(1DAY PAVE)は,生コン工場で常備している材料を用い,打設後1日以内で交通開放ができる舗装となっています。主な用途は,早期交通開放の必要な道路の補修,交差点やバス停等の打ち替え工事個所などです。
[用途1:橋のジョイント部の打ち替え]
橋のジョイント部の打ち替えに1DAY PAVEを打設しました。配合は,1DAY PAVEとして一般的な早強ポルトランドセメントを用い,水セメント比を35%としています。 | |
打設は,全て手作業により行われました。曲げ強度は1日で4.8N/mm2となり,予定通り1日で交通開放されました。 |
[用途2:石畳の下部舗装]
周辺住民の早期交通開放の要望により,石畳の敷設を早期に行うため,1DAY PAVEが用いられました。打設にコンクリートポンプを用い,早強ポルトランドセメント使用で,水セメント比38%の夏季配合としました。 | |
曲げ強度は,1日で3.8N/mm2となり,石畳も早期に敷設されました。環境とマッチした,石畳が整備されました。 |
材料は市町村が支給し,地元住民のボランティア施工による,生コン舗装が行われました。型枠設置,打設の全てが手作業で行われ,配合は普通コンクリートの呼び強度24程度としています。 | |
普通車程度の通行としていますが,降雨・積雪などによるぬかるみ対策及び除草作業削減時の維持管理の改善に効果があります。 |
コンクリート舗装の詳細な内容については,セメント協会のホームページの「セメント協会の取組」及び全国生コンクリート工業組合連合会/全国生コンクリート協同組合連合会のホームページの「コンクリート舗装」などで紹介されています。
一般社団法人セメント協会
http://www.jcassoc.or.jp/
全国生コンクリート工業組合連合会/全国生コンクリート協同組合連合会
http://www.zennama.or.jp/