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塩害とは、コンクリート中に存在する塩化物イオンの作用により鋼材(鉄筋や PC 鋼材など)が腐食し、コンクリート構造物に損傷を与える現象をいう。
密実なコンクリートは、アルカリ性が高く、コンクリート中の鋼材の表面には緻密な不動態被膜(腐食抑制作用のある薄膜であり、鉄の酸化物またはオキシ水酸化物でできている)が生じるので、一般に鋼材は腐食しにくい。しかし、コンクリート中に塩化物イオン Cl- が一定量以上存在すると、不動態被膜は部分的に破壊され、鋼材は腐食しやすくなる。
コンクリートに塩化物イオンが侵入する原因として、(1)海砂、混和剤、セメント、練混ぜ水などに最初から含まれている場合(内在塩化物イオン)と、(2)海水飛沫や飛来塩化物、凍結防止剤などの塩化物がコンクリート表面から浸透する場合(外来塩化物イオン)とがある。なお、外来塩化物イオンの場合には、海岸から離れていても、河川や地下水に海水濃度近くの塩分が含まれており、このような環境から塩化物イオンが供給される場合もある。
不動態被膜が破壊されると、コンクリート中における各種欠陥や密実性のばらつき、塩化物やアルカリ濃度の差などの不均一性、あるいは鋼材表面の化学的不均一性のために、鋼材表面の電位は不均一となり、アノード部(陽極)とカソード部(陰極)を生じて電流が流れ、腐食が生じる。鋼材の腐食で生じたさび(水酸化第二鉄 Fe(OH)3など)の体積はもとの鋼より大きい(2~3倍)ので、その膨張圧により鋼材に沿ってかぶりコンクリートにひび割れが発生する。ひび割れが生じると、酸素と水の供給が容易となり、腐食は加速され、かぶりコンクリートの剥落や鋼材断面積の減少による部材耐力の低下に至る場合がある。
(上記内容は、コンクリート技術の要点'07からの抜粋です。詳細はそちらをご確認下さい。)