日本コンクリート工学会

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会誌「コンクリート工学」

コンクリート工学 Vol.64, No.9
2026年9月号

 

特集
繊維補強コンクリートの社会実装—規基準の整備と適用の広がり—

本学会では、2012年5月号において「高機能・高性能化する繊維補強コンクリート」に関する特集を企画しましたが、それから14年が経過しました。この間、繊維補強コンクリートを取り巻く環境は、新材料としての研究開発フェーズから、設計体系の標準化と実環境下での社会実装が深化する新たなステージへと移行しています。

「繊維補強コンクリート」と一口に言っても、現在ではその使われ方や適用される分野によって、実に様々な種類や呼び方(略称)が存在します。例えば、本特集においても紹介されているように、2024年に土木学会から発刊された「高強度繊維補強セメント系複合材料(VFC)の設計・施工指針」では、主に土木分野で用いられる繊維補強材料(FRC、FRCC、DFRCC、HPFRCC、UFC、VFCなど)の分類が整理されています。一方で、建築分野における土間コンクリートや柱梁接合部などでは鋼繊維補強コンクリート(SFRC)が広く普及し、損傷制御技術としてECC(複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料)などが活用されるなど、目的や性能に応じて多様な進化を遂げています。

このような背景から、本特集ではタイトルを「繊維補強コンクリートの社会実装─規基準の整備と適用の広がり─」とし、単なる事例紹介に留まらず、多様化する繊維補強コンクリートの「現在地」を多角的な視点から網羅的に紹介することといたしました。

本特集ではまず、これまでの技術的・社会的進展の歩みを振り返りつつ、VFC指針に基づく構造設計や、JIS・JCI規準・ISO規格といった国内外の最新の基規準整備の現状を概観します。次に、材料の品質や性能を担保・評価する技術として、磁気や超音波を用いた非破壊検査技術、繊維の配向を考慮した有限要素法による力学挙動評価、さらには3Dプリンティングによる配向制御や再生炭素繊維の活用といった最新の技術革新を取り上げます。続いて、社会基盤を支える最新の実装展開に焦点を当て、道路橋床版のリニューアルやプレキャスト製品への活用、鉄道軌道における適用、建築分野での土間コンクリートの鉄筋代替や高層RC造建築物の損傷制御技術、さらには施工後長期間が経過した実構造物の耐久性追跡調査など、土木・建築を問わず多岐にわたる現場での実践例を紹介します。結びに、一層の普及に向けた実務上の壁となる製造・運搬時の制約や残コン処理の課題、そして海外のインフラ分野における最新動向を交え、次世代への展望を提示します。

本特集号が、繊維補強コンクリートに関する新たな気付きや技術開発等の取組みの一助となり、コンクリート技術のさらなる発展を通じて、安心で安全な社会インフラの構築と持続に寄与できれば幸いです。

(コンクリート工学編集委員会)

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