日本コンクリート工学会

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会誌「コンクリート工学」

コンクリート工学 Vol.62, No.1
2024年1月号

 

特集
700号記念*ライフラインとコンクリート

生活の維持に必要不可欠なライフラインとして、電気やガスなどのエネルギー、飲料水などの上水や、生活排水等の下水がある。また、これ以外にも、近年では、物流や通信なども都市生活の維持に不可欠なものとなっている。これらのライフラインが失われると、生活や生産活動を安定的に持続させることが困難になる。ここで、我が国は、世界的に見ても自然災害の多い地域であり、特に近年の自然災害は激甚化している傾向が見られ、「○○年に一度の災害」のような表現を目にすることも多い。また、エネルギー原料等を含む資源の海外依存度が高い我が国においては、世界的なパンデミックの影響や昨今の国際情勢の不安により、これらの資源を安定して調達することが困難な状況を目の当たりにしたことも記憶に新しい。

このように、自然災害や資源調達に関するリスクの高まりにより、我が国のライフラインを守るための取組みは以前にもまして重要度が高くなっており、国土強靭化に関する国の施策のもと、様々な取組みが展開されている。

これらのライフラインを守る目的として、コンクリートは様々な分野で利用されている。緻密性・遮へい性、鉄筋との組合せやプレストレスの導入などによる耐震性能・衝撃吸収性能などのコンクリートの有する性能を活用し、内容物の貯蔵や空間の確保などの用途に用いられている。また、現場打ちのコンクリートやプレキャストコンクリートのそれぞれの特徴を生かし、構造物構築時の現場環境や構築期間等の条件に応じて最適な活用方法が検討され実装されている。さらには、構築後のライフラインを担う構造物の機能を維持するための技術も日々進化している。

そこで、本特集号では、水をためる、エネルギーを確保する、生活環境の汚染を防ぐなどの平時のライフラインや、自然災害発生時などの緊急時にライフラインとしての機能を担うコンクリート構造物にフォーカスし、それぞれの構造物に期待される役割、設計・施工・維持管理に関する基準類の変遷や実例をもとに、ライフラインを担うコンクリートの現在地を紹介する。分野横断的な情報の共有を試みた本特集号が、新たな気付きや技術開発等の取組みの一助となり、コンクリート技術のさらなる発展を通じて、世代を超えた安心で安全な社会の持続に寄与できれば幸いである。

(コンクリート工学編集委員会)

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