コンクリート工学年次大会2010(さいたま)日程/2010.7.7〜7.9  会場/大宮ソニックシティー
実行委員長の挨拶

 JCI年次大会(さいたま)の概況報告

コンクリート工学年次大会2010(さいたま)
実行委員長 大即 信明(東京工業大学)


 2010年のコンクリート工学年次大会2010(さいたま)は,「彩り(いろどり)コンクリート」をキャッチフレーズとして開催しました。関東支部では,2002年(つくば),2006年(新潟)以来4年振りです。
 キャッチフレーズには,@埼玉の愛称「彩の国」,A控え目なコンクリートが少しでも「人々にいろどりを加える」,B埼玉の「彩の国キャンペーンマーク」より「夢がいっぱい=ブルー」,「元気がいっぱい=レッド」,「自然がいっぱい=グリーン」,の3つの気持ちを含ませました。
 今,コンクリートには逆風が吹いています。「コンクリートから人へ」というフレーズもあります。本来は,"Concrete for people"なのにと悔しい思いもあります。コンクリート界の中で慰め合うばかりでなく,少しでも一般の方々にも分かって欲しいと思います。本大会を,従来のコンクリート技術の情報交換,発展の場とすることはもちろんのこと,さらに少しでも外部の方への情報発信の場としたいと望みました。
 大会は,日本で9番目に多くの人口を抱える市であり,新幹線をはじめ周辺各地の鉄道路線が集結する交通の要衝でもあるさいたま市JR大宮駅より徒歩3分にある大宮ソニックシティで開催致しました。
 実行委員を中心とした会場スタッフの献身的な努力により,大きなトラブルもなく予定されていた行事を無事終了することができました。
 これから各行事の概要を報告します。「開会式」は,実行委員長による開会の挨拶,桝田佳寛会長の挨拶に引き続き,魚本健人副会長から2009年度の活動状況報告があった。
 「講演会」は,二羽淳一郎部会長をはじめとする講演部会委員を中心に,3日間,10会場で行われ,審査により採択された558編の論文・報告が発表された。また,「討論会」では,4つの研究委員会・技術委員会の研究成果の発表および討論を行った。
 コンクリートテクノプラザでは,早川光敬部会長をはじめとするテクノプラザ部会員を中心に51の会社および団体による61小間の参加により,最新技術の展示・紹介が行われた。参加者は,3日間延べ約9000名にのぼり,いずれの会場とも多数来場者があり,盛況であった。同時に行われた出展者による最先端技術を紹介する「技術紹介セッション」においても,多数の参加のもと熱心な質疑応答があった。
 「生コンセミナー」は,大会2日目の午後から3時間半にわたって545名の参加により行われた。阿部道彦部会長をはじめとする生コンセミナー部会員を中心に,「コンクリートの乾燥収縮問題への対応」をテーマに,宮澤伸吾部会幹事の司会のもと,第1部の基調講演を十河茂幸氏による「生コンユーザーの乾燥収縮に対する要求事項について」と題して,また,吉兼亨氏による「生コン業界における乾燥収縮への取り組みについて」と題してご講演いただいた。第2部のパネルディスカッションでは,桜本文敏氏をコーディネーターとして,6人のパネラーによる報告に続いて活発な質疑・応答がなされた。
 「見学会」は,辻正哲事業部会長をはじめとする事業部会委員を中心に行われた。「見学会」は,大会2,3日目に,「東京国際空港D滑走路と扇島LNGタンク見学」,「太平洋セメント(株)熊谷工場・UFC歩道橋・ものつくり大学・川越の歴史的建築物見学」,「住友大阪セメント(株)唐沢鉱業所ならびに栃木工場と石灰石資料館他見学」,「東京駅/東京中央郵便局見学」,「免震構造オフィスビル工事見学」の5コースを実施し,いずれもほぼ定員の応募があり,好評であった。
 「小学生がつくるコンクリートinさいたま」は,関東支部若手会21の高橋良輔代表をはじめとする委員を中心に行われた。さいたま市内の3小学校の生徒さんが作製したさまざまな作品約320点が展示され,作品への投票数が597件あった。
 「特別講演会」は,辻正哲事業部会長をはじめとする事業部会委員を中心に行われた。初日の各会場での講演会終了後に,「人からコンクリート」という演題で建築家安藤忠雄氏による講演が行われた。この講演会では,一般の方々を含め2000名を超える聴衆を集めるという目標を課し,一般の方々への宣伝,関連企業・大学への紹介などを行い,結果2300名を集めることができ,かつ内容も魅力的なものであり,大好評であった。
  「懇親会」は,棚野博之総務部会幹事の司会で始まり,総務部会委員を中心に運営され,パレスホテル「ローズルーム」で行われた。宴会に先立ち埼玉大学教育学部准教授の竹澤栄祐氏のフルートと竹澤明子さんのピアノ伴奏により,ドップラー作曲「ハンガリー田園幻想曲」が披露された。桝田佳寛会長,実行委員長,来賓として菊川滋国土交通省関東地方整備局局長の挨拶に続き町田篤彦埼玉大名誉教授の乾杯で宴は和やかな雰囲気のもとに進行し,会員相互の懇親が深められるとともに宮川豊章次期実行委員長から大阪大会の準備状況の報告があり,睦好宏史総務部会長により締めが行われた。約250名が参加して盛況であった。
 「閉会式」は,岩波光保講演部会委員の司会で行われ,実行委員長の謝辞の後,橘高義典年次論文査読委員長より発表論文の傾向や採択率などについて講評があった。その後,二羽淳一郎講演部会長より59名の年次論文奨励賞の発表と記念品のクロス社製高級ボールペンの説明があり,実行委員長から受賞者へ賞状とともに授与された。
 最後に桝田佳寛会長から宮川豊章次期実行委員長に委嘱状が手渡され,宮川豊章次期実行委員長から大阪大会への招待の挨拶があった。
  本大会は,連日各会場とも盛況で,予定されていた行事も順調に進み,ほぼ所期の目的を果たして終了することができたものと考えています。これもひとえに講演者,座長,コンクリートテクノプラザ出展者,生コンセミナー参加者をはじめ,大会の諸行事にご協力いただいた方々のお陰であると思っています。また,年次大会委員会,査読委員会,本部事務局および実行委員会の方々の絶大なご支援の賜によるものであり,関係各位に心から感謝致します。