実行委員長の挨拶 |
JCI年次大会(札幌)の概況報告 |
コンクリート工学年次大会2009(札幌) |
実行委員長 田畑 雅幸(北海道職業能力開発大学校) |
2009年の第31回コンクリート工学年次大会札幌は,「吾妻しいコンクリート」をキャッチフレーズとして開催した。北海道では、1990年(第12回),2001年(第23回)以来8年振りで,3回目となります。 キャッチフレーズには、「居心地の良い」,「その場に居て気持ちが安らぐ」,という意味に使われています。これにあやかり、環境問題を含め,やさしく,思いやりのあるコンクリートにしようとの思いが込められています。我々の「コンクリート」で何に貢献できるのか、どのような技術が必要なのか、居心地の良いとはどのようなことかを考える機会にして、過去を振り返りつつも前進することが求められているように思います。JCI北海道支部では各種研究委員会とともに塩害,凍害などによる劣化を解明する研究委員会が産官学の協力のもと実施され,成果を上げています。北の北海道から心を込めた技術により、コンクリートが長く人々に親しまれ、今回の大会がコンクリートのイメージがさらに良くなることを望んでいます。 大会は、札幌市の中心部からほど近い第3セクターで運営されている札幌コンベンションセンターを3日間全館貸切で開催致しました。 実行委員を中心とした会場スタッフの献身的な努力により,大きなトラブルもなく予定されていた行事を無事終了することができました。 これから各行事の概要を報告する。「開会式」は,実行委員長による開会の挨拶,阪田憲次会長の挨拶に引き続き,桝田佳寛副会長から2008年度の活動状況報告があった。 講演会は,後藤康明部会長をはじめとする講演部会委員を中心に,3日間,10会場で行われ,審査により採択された641編の論文が発表された。また,「リサーチプラザ」では,研究専門委員会の終了報告5件,中間報告2件の研究成果展示発表が行われた。 コンクリートテクノプラザでは,名和豊春部会長をはじめとするテクノプラザ部会員を中心に54の会社および団体による65小間の参加により,最新技術の展示・紹介が行われた。参加者は,3日間延べ8300名にのぼり,いずれの会場とも多数来場者があり,盛況であった。同時に行われた出展者による最先端技術を紹介する「技術紹介セッションコーナー」においても,多数の参加のもと熱心な質疑応答があった。 「生コンセミナー」は、大会初日の午後から4時間にわたって行われた。今野克幸部会長をはじめとする生コンセミナー部会員を中心に,「耐久性向上を目指して〜北の大地より情報発信〜」をテーマに450名の参加者により,遠藤裕丈部会委員の司会のもと,第1部の基調講演を佐伯昇氏の「コンクリートの耐久性と技術者倫理」と名和豊春氏の「乾燥収縮ひび割れ制御の現状と将来への展望」題してご講演いただいた。第2部では,大沼博志副実行委員長をコーディネーターとして,パネルディスカッションを6人のパネラーによる報告に続いて活発な質疑・応答が行われた。 「研究集会」は、昨年の福岡大会に引き続き2件の研究について実施し,今年度新たに行った若手研究者による「ランドマーク論文紹介」セッションとともに、専用の会場を設けて大会参加者の他に,一般の人が無料で参加出来る方法で実施した。各集会とも多数の参加のもと活発な討議が行われ,有意義な企画であったと思われる。今後も引き続き企画されることを期待しています。 「見学会」,「フォトコンテスト」は,杉山雅事業部会長をはじめとする事業部会委員を中心に行われた。「見学会」は、大会2日目に,「北海道横断自動車道(夕張〜占冠)と夕張シュウーパロダム(RCD)」,「北彩都あさひかわ(JR旭川高架工事現場)」の2コースを実施し、特に、前者は締め切り前に定員を超える参加者の応募があり,好評であった。 「フォトコンテスト」は、「自然と共生するコンクリート(暮らしと・自然と・歴史と・新技術とコンクリート」をテーマにジュニア部門応募作品数42点から入選20点,一般部門応募作品数155点から最優秀賞1点、優秀賞3点,入選10点を選定した。これらの入賞作品をJR札幌駅構内と札幌コンベンションセンター会場に展示した。さらに応募者代表作品を会場内のプロジェクターで紹介し,熱心に観覧している参加者が居た。 「特別講演会」は,杉山隆文部会長をはじめとする特別講演部会委員を中心に行われた。2日目の各会場での講演会終了後に,一般の人も無料で参加できる方法で行われ,気象環境に興味ある人も含め300名の参加のもと,北海道大学名誉教授・前北海道大学低温科学研究所長の若土正暁氏を講師に迎え,「地球環境システムにおける寒冷圏の役割」と題して大変興味あるご講演をしていただいた。 「懇親会」は,上田多門部会長の司会で始まり,総務部会員を中心に運営され,特別講演会終了後特別会議室を宴会場として行われた。宴会に先立ち「(財)アイヌ民族博物館」によるアイヌの舞踏と歌のアトラクションが披露された。阪田憲次会長,実行委員長,来賓として鈴木英一北海道開発局長の挨拶に続き角田與史雄北大名誉教授の乾杯で宴は和やかな雰囲気のもと進行し,会員相互の懇親が深められるとともに大即信明次期実行委員長から埼玉大会の準備状況の報告があり,約270名が参加して盛況であった。 「閉会式」は,濱幸雄講演部会幹事の司会で行われ,実行委員長の謝辞の後,岡本亨久年次論文査読委員長より発表論文の傾向や採択率などについて講評があった。その後,後藤康明講演部会長より68名の年次論文奨励賞の発表と記念品のコンクリート作業スタイルのボルタ人形「(スランプコーンに,コテを持ち,スコップ片手に汗を拭う), (室蘭ボルタ工房作)」の説明があり,実行委員長から受賞者へ賞状とともに授与された。 最後に阪田憲次会長から大即信明次期実行委員長に委嘱状が手渡され,大即信明次期実行委員長からさいたま大会への招待の挨拶があった。 本大会は,連日各会場とも盛況で,予定されていた行事も順調に進み,ほぼ初期の目的を果たして終了することができたものと考えている。これもひとえに講演者,座長,コンクリートテクノプラザ出展者,生コンセミナー参加者をはじめ,大会の諸行事にご協力いただいた方々のお陰であると思っています。また、年次大会委員会,査読委員会,本部事務局および実行委員会の方々の絶大なご支援の賜によるものであり,関係各位に心から感謝致します。 |