実構造物の劣化予測における学術研究の役割と
その成果の活用に関する研究委員会

JCI-TC201A
 
委員会設立主旨

 新設または既設,建築または土木(4軸)を問わず,コンクリート構造物の劣化は化学現象としては同じはずであるが,それぞれでの耐久性照査では,その取り扱いは必ずしも同じでは無い.用いている工学モデル(例えば中性化ではルートt則,塩害ではFickの拡散則等)は同じだが,環境作用とコンクリートの特性値の設定方法,すなわち工学モデルで用いるパラメータの設定方法は異なる.一般に設計は仮想世界で維持管理は現実世界であるため,細部にわたって同じ手法で予測・照査する必要性は無いが,少なくとも予測手法の理念は共通しておく必要があるが,現状では4軸での手法の関連性が曖昧である.この様な状況では,例えば新材料を用いた耐久性照査を既存材料と同等レベルの確度で実施するためには,膨大な事前検討が必要になるなどの様々な不都合が生じる.4軸での相違を整理し,共通した理念に基づいた予測を可能とするための課題を整理し,将来の方向性を具体的に示すことが喫緊の課題であると考えている.


 
 
活動計画

 新設,既設,建築,土木の4軸で整理し,相違を明確にする.なお,4軸での相違は設計や既設構造物の性能評価の将来予測の中で,パラメータの設定の仕方や取得方法などの相違に現れると考えている.
 第一回の全体委員会で問題意識を共有したのちに,建築・土木での相違点と問題点を明確にして,両者の共通認識を得る.その後,鋼材腐食WGとコンクリート劣化WGに分かれて,新設・既設を含めた相違点と問題点を議論する.異なる点については,共通した理念に基づいた予測を可能とするための課題を整理する.
 2-3回のWGと全体委員会を通じて,問題点の明示とFS後に具体的な対応策を検討する研究委員会に設立するための解決する議題を整理する.1月には報告書を作成し,研究委員会設立を目指す.


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