火山性堆積物のコンクリート用混和材としての
高度利用に関する研究委員会
JCI-TC193A
委員会設立主旨 |
ポルトランドセメントの代替に用いられる混和材として、産業副産物が実用化されているが、フライアッシュを副産する石炭火力発電の先行きは不透明であり、高炉スラグ微粉末も世界的に見ればその量には限りがある。一方、天然ポゾランがコンクリートの耐久性向上に寄与することは古くから知られ、セメントクリンカー削減や石灰石資源の保護の観点から、国内に豊富に埋蔵する火山性堆積物をコンクリート用混和材として利用することは、資源循環型社会および低炭素社会の実現に貢献すると考えられる。これまで、世界中で火山灰、軽石、白土など、様々な火山性堆積物の利用が研究され、実用化の対象とされてきた。天然ポゾランは、Ca(OH)2との反応による細孔構造の緻密化、化学的抵抗性向上など、コンクリートの性能向上に寄与することが確認されているが、母マグマの違いや堆積過程で受ける作用によりSiO2、Al2O3、CaO量などの化学組成が地域毎に異なるのが現状であり、一般解は得られていない。また、天然ポゾランの一般的課題として「反応性の遅さ」および「流動性の低下」が挙げられ、加熱改質や粉砕による対策が検討されているが、天然ポゾランの幅広い普及には至っていない。一方、JISの制定に向けて2017年に新市場創造型標準化制度に採択された「コンクリート用火山ガラス微粉末」は、W/B=20%のコンクリートにおいて10%をセメントと置換することでシリカフュームと同等以上の流動特性および強度発現特性が得られることが示されている。原鉱となる南九州に堆積するシラスについては、非晶質量は約6割であるが、粒子径および密度差を利用した簡便な乾式比重選別装置によって結晶質(高密度)と粘土質(微小粒子)を除去することで、非晶質量約90%(SiO2約72%、Al2O3約13%)の高純度な非晶質アルミノケイ酸塩が製造でき、それをさらに微粉砕することで高性能な混和材となることが判明している。この製造方法は、全国の火山性堆積物の物性・化学組成に応じてカスタマイズすることにより、様々な火山性堆積物に適用可能であると考えられる。そして、選別された火山ガラスは、上記の一般的課題を克服した混和材としての高度利用を可能にする環境負荷の少ない天然ポゾランと言える。 |
|
活動計画 |
活動内容(最終成果物の内容)としては、以下の2つを想定しているが、最初の約半年間は、火山性堆積物からコンクリート用混和材の製造方法や利用方法の現在の状況について、全体委員会で情報を共有した後、2つのWGに別れて活動を行い、報告書として纏める。 |