3Dプリンティングによる
コンクリート構造物構築に関する研究委員会

JCI-TC192A
 
委員会設立主旨

 3Dプリンティングによるコンクリートの施工法は、これまでの施工法を画期的に変えるものであり、型枠不要で省力化や工期短縮に寄与することはもとより、構造最適化など設計の合理化につながる可能性がある。一方、実現にあたっての課題も数多くあり、3Dプリンティングで施工可能なコンクリート物性の明確化、性能を実現するための材料開発、耐久性や構造安全性確保のための方法など、検討が必要な項目は多い。以上のことから、土木、建築、材料分野の知見を統合し、各立場の垣根を越えて我が国における技術の進展と普及を図ることが重要である。
 本研究委員会は、近年発展が著しい3Dプリンティング技術に着目し、建設分野および他分野における技術の現状について、国内外の動向に関する情報を広く収集する。そのうえで、3Dプリンティング技術の適用対象を具体的に検討し、そのメリットやデメリットを挙げ、今後必要となる研究と技術の適用や普及にあたっての課題と解決策について検討することを目的とする。


 
 
活動計画

 本課題に先立って実施したFS委員会の活動を基盤として、3Dプリンティング技術のコンクリート構造物構築の適用性について検討を行っていく。FS委員会では、材料、構造、施工の観点から精力的に文献調査を進めてきたが、技術開発が日進月歩の様相を示す発展著しい分野であることから、海外の動向を継続的に注視し、情報収集を行っていく。ジャーナル論文、ウェブサイト、ニュースリリースなどの調査、ACIおよびRILEM等の学会発表や委員会出席による情報収集を精力的に行い、技術動向と今後必要な研究課題を抽出する。
 そのうえで、3Dプリンティング技術を用いて実構造物・建築物を建造するために必要な項目を、構造面、材料面、施工面からピックアップし、今後の研究発展の動向をにらみながら、具体的な研究項目について検討を行う。さらに、テーマの特性上、他産業における技術開発の状況を知ることが非常に重要となるため、他の素材を用いた3Dプリンティング技術のサーベイや、ロボティクス技術、IoT技術などの最新動向を捉え、建設産業への応用展開の可能性について議論する。
 同時に、3Dプリンティング技術を活用した新しい価値創出やパラダイムシフトを模索するために、FS委員会で有効性を確認したワークショップ形式の議論を実施し、今後の研究戦略の策定に資する情報を取りまとめる。



(c)3Dプリンティングによるコンクリート構造物構築に関する研究委員会