高温環境下におけるコンクリートの
性能評価に関する研究委員会

JCI-TC154A
 
委員会設立主旨

 鉄筋コンクリート構造物が火災を受けると,表層部が爆発的に剥離・剥落するいわゆる爆裂現象が生じる。コンクリートが剥落すると内部鉄筋は露出し高温により品質は大きく低下する。このことから,爆裂はコンクリート工学における重要な研究テーマとなっている。JCIでは,2009年に「コンクリートの高温特性とコンクリー卜構造物の耐火性能研究委員会(野口委員長)」が設置された。そのなかで,耐火設計と高温時の材料特性および火害診断に関するこれまでの知見や課題が整理され,一定の成果を得た。一方で,コンクリートの爆裂抵抗性試験方法については,試験方法の提案にまでは至っていない。そこで,本研究委員会では,コンクリートの爆裂抵抗性試験方法の提案を行い,爆裂メカニズムの解明を目指して活動を行う。加えて,火害を受けたコンクリートの物質侵入抵抗性(塩分浸透抵抗性) についても,検討を行う。


 
 
活動計画

 本委員会では2つのWGを設置する。
 WG1:コンクリートの爆裂抵抗性試験方法
 WG1では,コンクリートの爆裂抵抗性試験方法について検討する。ひとつの案として,リング拘束試験方法を考えている。この方法は,鋼製リングにコンクリートを充填し,下面開口部の一面加熱を実施する。鋼製リングに貼付したひずみゲージにより,加熱時の拘束ひずみを計測し,薄肉円筒理論から加熱時のコンクリートの熱応力を計測できる。併せて,内部の水蒸気圧も計測でき,拘束条件下における爆裂性状の評価が可能である。
 上記の方法と従来法との比較,また既存の耐火試験方法との比較を行う。特に,RC実部材の耐火試験の実績のある配合を提供してもらい,リング拘束試験の加熱試験結果と比較を行う。

 WG2:火害後のコンクリートの耐久性評価
 WG2では火害後のコンクリートの耐久性について,課題を整理する。これまでに,耐久性については,受熱温度と残存強度が主な指標となっているが,物質侵入抵抗性については十分な検討がなされていない。ここでは,火害後の物質侵入抵抗性を塩分浸透性で評価する実験を行い,耐久性指標を検討する。加えて,現場での火害診断試験についても検討する。


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