物理化学的解釈に基づく
電気化学的計測手法の体系化に関する
研究委員会

JCI-TC134A
 
委員会設立主旨

 現在、コンクリート工学分野においても、機構解明や診断等の多くの場面で、電気化学的理論に基づく計測(自然電位、分極抵抗、分極曲線、コンクリート抵抗等)が適用されているが、コンクリート工学特有の現象を反映した計測結果に対しては、未だ十分な理論的解釈が与えられているとは言い難い。例えば鋼材の自然電位では、コンクリートの材齢初期に電位が貴および卑な方向に大きく変動する現象が観測されることがあるが、多くの場合このような電位変動に対する理論的解釈は与えられず、自然電位が比較的安定した数ヶ月経過後からのデータのみが活用されている。その他の電気化学的測定手法についても同様であり、コンクリート工学分野特有の状況や現象に対して十分な理論的解釈が与えられていないため、場合によっては誤った結論が導かれる恐れもある。
 コンクリート構造物に電気化学的な測定を適用する場合、材料や配合の影響、コンクリートの時間依存性の影響、刻々と変化する外部環境の影響、などの多くの要因を適切に解釈した上で、測定結果を分析することが極めて重要となる。本研究委員会では、各種電気化学的計測手法をコンクリート構造物に適用する際に考慮すべき物理化学的理論を体系的に整理するとともに、実測結果に基づくケーススタディを通した議論から、信頼性の高い測定の実施とその解釈方法に関するノウハウなど、実務において有益な資料をとりまとめることを目的とする。


 
 
活動計画

 本研究委員会での主な対象は、鋼材とその保護層(コンクリートおよび補修材料)とし、次の2つのWGによって検討する。

保護層WG:材料種、配合、環境等が保護層の鉄筋保護性能に及ぼす影響を整理する。電気化学的計測手法による評価に加えて、物質移動特性の評価手法との関連も整理する。

鋼材WG:保護層材料および環境(鋼材および保護層の周辺環境)等が鋼材の電気化学的計測結果に及ぼす影響を、物理化学的理論に基づき体系的に整理する。

 なお、何れのWGともに、1. 物理化学的な理論、2. 1. に基づいたコンクリートへの応用理論、3. 1. および2. に基づいた実測値の理論的な解釈と限界、を検討の基本とする。特に、鋼材WGにおいては、保護層特性が電位や分極等に対して影響を与えるため、両WGの検討内容が密接に関連する点にも注意して検討を進めていく必要がある。

 全体会、各WG、幹事会の開催予定を下表に示す。

    全体会議 WG1 WG2 幹事会
H25 5        
6        
7        
8        
9        
10        
11        
12        
H26 1        
2        
3        
4        
5        
6        
7        
8        
9        
10        
11        
12        
H27 1        
2        
3        

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