混和材を大量使用したコンクリートの
アジア地域における有効利用に関する
研究委員会

JCI-TC132A
 
委員会設立主旨

 現在、アジア地域において、全世界のコンクリートの3/4が生産されているが、今後その量がさらに増大するのは確実であり、セメントクリンカー製造に伴う地球温暖化物質の削減および枯渇性天然資源である石灰石消費量の削減が求められている。昨今、その一方策として、ポルトランドセメントの大半を現地または近隣諸国で副産される高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの混和材で大量置換したコンクリートに関する研究が、日本に限らずアジア各国で精力的に進められてきており、その影響もあってか、昨今、高炉スラグ微粉末のアジア地域への輸出量は増加傾向にあり、今後は、高炉スラグ微粉末に限らず、フライアッシュの輸出も見込まれている。しかしながら、これまで、海外における混和材の利用事情とそれを大量に用いたコンクリートについての情報収集はほとんどなされてきていない。一方、我が国においては、強度発現速度が遅いこと、低温環境下においては脱型時期・養生日数に特段の配慮を要すること、中性化抵抗性が低いことなどの問題があり、その用途・利用方策を標準化するには至っていない。
 本研究委員会では、我が国の土木分野・建築分野およびアジア各国で研究開発が進められてきている「ポルトランドセメントを混和材で大量置換したコンクリート」を実用化するために、アジア地域における当該コンクリートの技術の現状を詳細に調査するとともに、当該コンクリートの欧米における実用例についても調査を行い、アジア地域の気象条件および副産場所を考慮したうえで、コンクリート構造物の種類・要求性能に応じた、その有効利用方策について検討し、当該コンクリートの利用ガイドラインの策定に資する資料を整備することを目的とする。


 
 
活動計画

 2013年度前半は、WGを設置せず、高炉スラグ微粉末およびフライアッシュを主対象として、我が国のみならずアジア各国における、混和材・混合セメントおよびそれらを用いたコンクリートに関連する法律・規格・基準、混和材および混合セメントの生産・利用状況および性質、ならびに混和材を大量使用したコンクリートの各種性状および利用状況について、各委員からの情報提供に基づく調査活動を実施し、技術の現状を取り纏める。
 2013年度終盤または2014年度早々に、2つのWG(想定されるWGとしては、(1)高炉スラグ微粉末WG、(1)フライアッシュWG、または(1)法律・規格・基準WG、(2)品質・性能WG)を設置し、アジア地域における混合セメントの生産状況およびアジア各地域の気象条件を考慮した各混和材の有効利用方法について検討し、当該コンクリートの利用ガイドラインの策定に資する資料を整備する。場合によっては、アジア各国から混和材・混合セメントを取り寄せて比較実験を実施する。
 また、同時期にACF(アジアコンクリート連盟)に同分野の研究委員会を設置してもらい、ACFの研究委員会・委員には通信委員になってもらい、通信委員からアジア各国の情報を提供してもらうとともに、ACFの研究委員会の会議に参加し、アジア地域における調査研究活動をACFと連携して実施することとする。また、将来的には、ACFの研究委員会において、本研究委員会の成果を発展させ、混和材を大量使用したコンクリートの有効利用に関する英文版ガイドラインを作成し、出版することとする。


(c)混和材を大量使用したコンクリートのアジア地域における有効利用に関する研究委員会