ASR診断の現状とあるべき姿 研究委員会

JCI-TC115FS
 
委員会設立主旨

 2006〜2007年度の「JCI-TC062A 作用機構を考慮したアルカリ骨材反応の抑制対策と診断研究委員会」の活動成果から、現行の骨材のアルカリ反応性評価法やアルカリ骨材反応(ASR)抑制対策は一般には有効であるが同時に限界もあることが示された。この成果が徐々に浸透し、近年では日本各地でASR抑制対策以降の劣化事例も報告されてきている。しかしながら、その事例報告がなされても、劣化の原因解明まで行われた事例は限定的である。これはASR診断の手法が確立していないことも一因と考えられる。現行の抑制対策下でのASR劣化の原因が分からないので新しい有効な対策を考えるのも容易ではない。このような状況の下、一部では独自に新しい抑制対策を講じている事業体もある。今後のより合理的なASR対策には、現実の劣化状況と原因調査までを含めた包括的なASR診断を行い、ASR抑制対策の技術とシステムの整備が不可欠である。
 本研究委員会では、ASR診断に係る専門家により、診断の現状とあるべき姿について議論し、実効的なASR診断の方法論を提示する乙とを目的とする。FS委員会であるので、1年目で現状認識に関する調査を行い、ASR診断手法の整備が必要と認められる場合には、2年目以降の活動を行う。


 
 
活動計画

 本委員会では以下に示す3つのWGを設置し、調査研究活動を行うこととする。ASR診断に関する現状の技術の整理および技術者の認識を把握するとともに、先進的なASR診断事例を示し、実効的なASR診断を提示するための基礎資料を収集する。
 WG1:診断手法WG(主査:川端雄一郎)
 国内外における(研究レベルも含めた)ASR診断手法および抑制対策に関する最新情報を整
理し、ASR診断フローと新しいASR抑制対策を提案する。
 WG2:現状分析WG(主査:古賀裕久)
 圏内においてこれまでに実施されたASR診断に関して、調査点検項目等を調査し、その意義やデータの活用方法などに関する現状を把握する。また、先進的な調査事例を収集・比較することで、現状のASR診断の技術課題について整理する。
 WG3:意識調査WG(主査:久保善司)
 JCI TC 062Aのアンケート調査を基に、各地域および事業体の管理者および技術者に対して、ASR診断に関するアンケートを再度行う。その結果を基にASR診断に関する技術者の認識を把握するとともに、ASR診断の重要性を認知させるための啓蒙活動を行う。WG3での問題意識のあり方が、2年目以降の活動の要否判断の重要な点となる。


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