コンクリート構造物の
ひび割れ進展評価手法に関する
研究委員会

JCI-TC111A
 
委員会設立主旨

 コンクリート構造物の維持管理や長寿命化の観点から、現在、様々な要因で発生するひび割れの評価に注目が集まっている。例えば、新設構造物には、温度応力ひび割れや収縮ひび割れの抑制が、既設構造物には、ひび割れ発生原因の明確化や将来的なひび割れ進展予測が求められている。しかしながら、従来は、ひび割れの発生を抑制する条件や観察されたひび割れの現状の理解とその影響の評価の検討が多く、構造解析手法においても個々のひび割れに着目して、ひび割れ発生後の進展挙動までも対象とし検討は少ない。しかしながら、ひび割れ進展挙動を正確に評価できれば、ひび割れ抑制やひび割れコントロール技術の高度化に大きく寄与するものと考えられる。
 そこで、ひび割れを動的にとられたひび割れ進展という観点のもとで、(1)既往のひび割れ評価法の整理(例:示方書)、(2)ひび割れ進展を評価可能な実験手法の検討(例:デジタル画像処理)、(3)ひび割れ進展を評価するための解析手法の検討(例:FEM、RBSM、(4)各種劣化事例に対するひび割れ進展評価法の検討(例:温度応力ひび割れ、腐食ひび割れ)、などひび割れの形態そのものに着眼して、既往の知見の整理と実験や解析手法の適用範囲や可能性を検討しながら、ひび割れ進展評価の現状と今後の展開について考える。


 
 
活動計画

 本委員会内に、実験的なひび割れ進展評価手法の検討するワーキンググループ(WG1)と解析的なひび割れ進展評価手法の検討をするワーキンググループ(WG2)を設置する。委員会
はWGを中心に2ヶ月に一回程度開催し、研究目的の達成を目指す。
 1年目では、ひび割れ進展評価に対し、実験ならびに解析的な手法の現状ならびに現状の技術により得られたひび割れ進展に関する知見の整理を行う。特にひび割れ進展については計測が比較的容易な表面ひび割れにとどまらず、内部ひび割れに注目するとともに、材料や構造などの異なる視点から整理する。また、示方書も含めたひび割れ評価法も整理する。
 2年目では、実験的な知見から見た必要な解析手法、解析的な知見からみた実験に望まれる情報について議論する。また、各種劣化事例に対し、実験ならびに解析の有機的な活用方法を模索する。さらに得られた知見の実用面への反映(例えば、数値解析法の設計基準への取り込みや今後の必要性)などについて検討する。


(c)コンクリート構造物のひび割れ進展評価手法に関する研究委員会