危急存亡状態のコンクリート構造物
対応委員会
委員会設立主旨 |
長崎市にある端島(通称、軍艦島)には、大正5年に国内初の高層鉄筋コンクリート造集合住宅である30号棟が建設された後、集合住宅や公共施設を含めて70棟を超えるRC造建築物が昭和39年まで建設されてきた。最盛期には人口が5000人を超え、高密度な住環境を有する島となったが、国の石炭から石油へのエネルギー政策の転換により、昭和49年の閉山後は無人島となってはいるが、RC造建築物は現在も残存している。しかしながら、端島は非常に厳しい塩害環境下にあるため、鉄筋の腐食が過度に進み、供用が不可能な状態となり構造安全性も問題視されるRC造建築物も少なからず生じてきている。 端島に暴露した様々な補修を施した試験体を対象に、定期的に劣化の進行状況および物理的・化学的な変化を観察・測定・分析し、塩害劣化の進行・抑制のメカニズムおよび各補修の効果を明らかにするとともに、端島に残存する自然倒壊が間近に迫っている建築物を対象とした遠隔地モニタリングの結果から、自然倒壊の過程を詳細に記録・分析・解析して自然倒壊メカニズムを明らかにすることは、端島に残存する建築物群に対して最適な補修方法・補強方法を見出すことに繋がるだけでなく、コンクリート工学の将来の発展にも多大に寄与するものと考えられる。 |
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活動計画 |
本委員会では、以下の2つの分野に分かれて活動を実施することとする。 (1)共通試験における劣化現象の観察・測定・分析 (2)建築物の自然倒壊のモニタリング 共通試験およびモニタリングで得られた成果については、定期的に長崎市に報告することとし、共通試験で得られた成果については、会員内外に適宜公開するものとする。 委員会設置期間は2017年4月より2年間とする(ただし、状況に応じて2026年10月まで延長する可能性あり)。 |