jci Kyoto 2003 実行委員長たより(No.2)

実行委員長 西林 新蔵 (大阪産業大学)


 依然として先の見えない景気の停滞,同時テロやイラク戦争など,様々な社会不安の中で jci Kyoto 2003 を開催するに当たって,本大会は研究発表と最先端技術を紹介するテクノプラザに重点を置いた大会にすべく実行委員会は会合を重ね,計画を練ってきましたが,愈々それらを実行に移す時期が到来しました。昨今のように建設活動が停滞したときこそ,コンクリートに携わっているわれわれは,コンクリートに対する認識を新たにし,基礎から応用にわたるコンクリート工学全般のレベルアップを図る絶好の機会であると考えております。つまり,近い将来必ず到来する新生,かつ輝かしいコンクリートのために知識を充電する時期であると認識しております。そのため,本大会のキャッチコピーを 「はんなり コンクリート」 としました。
 「はんなり」とは,室町時代後期の資料にも見られる上方文化を象徴するような言葉で,現代でも京都・大阪で使われています。京ことばでは,“はなやかで上品な感じ”という意味で用いられます。「花」むしろ「華」に由来するといわれ,“陽気で,明るく,はなやか”というのが本来の意味のようですが,能楽で「花・華」といえば人の心をひきつける演技のことであり,当然「気品の高さ」も含まれることになります。 現代の停滞した暗い世相を打破し,このことばのように何世代にもわたってコンクリート技術が愛され続けるようにとの期待をこめ,この大会のキャッチコピーとしました。
 本大会には年次大会最多の研究論文の申し込みを,また昨年以上のテクノプラザへの参加登録を頂きました。それに応えるべく,充実した発表と討議を行えるプログラムの編成と,技術紹介の場所と時間を提供することに致しております。生コンセミナーは「性能規定型コンクリートの将来像」についてパネルジスカッションが,特別講演会では,Prof. Alfred Haackに,国際都市・京都らしく世界に眼を広げ、近年の重要な課題の一つである火災対策と、これに関連した道路交通の安全性をコンセプトとた話題の提供をお願いすることに致しております。見学会は,「第二名神栗東橋」,「堺LNG PC地上タンク」,「阪神淡路大震災損傷構造物」などのコースを用意しております。また,電子情報化委員会では年次大会論文の投稿・査読システムの電子化とともに,会員の皆様からの要望が多かった過去の年次論文集のサービスの検索システムの試作版デモを行う予定です。
 なお,開催会場の国立京都会館(KICH)はわが国で初めての本格的な国際会議場で、サミットをはじめ多くの重要な国際会議が開催され、1997年の気候変動枠組条約締約国会議、地球温暖化防止会議で採択された「京都議定書」、さらには今年3月に開催された「水フォーラム」は,今後の地球環境のあり方、つまり「持続可能な発展」のための行動計画の一環としての位置付けがなされた重要な会議であったことは記憶に新しいところであります。本大会が,地球環境へのコンクリートの関わりを考える契機となることをも願っております。
 以上今回の大会の概要についてご案内致しました。活発な討論と最高の技術を紹介する場を提供いたしますので、どうか多数の皆様方のご参加をお願い申し上げます。