品質試験方法と施工時諸特性との相関性評価研究委員会

JCI-TC074A
 
委員会設立主旨

 材料実験に用いる供試体より得られる強度と,コンクリート構造物中の強度は必ずしも一致しない。限界状態設計法においては,この差異を材料係数を用いて配慮することになっている。しかし,設計において,材料係数を詳細に設定できるには至っていない。一方,実際の施工においては,構造物中の強度が供試体の強度に一致するよう,運搬,打込み,締固め,仕上げ,養生,型枠および支保工の取外し等の段階において,種々の指針類に従った入念な施工を行うことによって,供試体と実構造物中の強度の差を小さくする努力がなされている。
 施工および設計技術の現状を考えれば,詳細な材料係数を設定する技術が開発されるとともに,施工の各段階において定められた規格,例えば,型枠脱型時であれば,構造物中のコンクリートの圧縮強度が5N/mm2に達していることを正確に確認できる試験技術の開発も重要である。本委員会は,設計時に設定された性能と同じコンクリートが実際に施工されるために,施工の各段階において必要とされる適切な品質評価試験方法の現状を調査すること,コンクリートの品質評価のために提案されている種々の試験方法が施工時のどの段階の特性をより良く評価しているかを明らかとすることを目的とするものである。

 同一スランプでも粘性等により、施工性は大きく相違することから、その影響度を把握し、これまで利用されているスランプ試験等の簡易な手段でフレッシュコンクリートの施工性を評価することを可能とする方法を整理・提案する。それにより、海外工事が増加する傾向にあることも踏まえ、海外の情報も分析・評価しながら、新たに複雑な試験方法を考案するのではなく、できるだけ既存の比較的簡易な試験方法を利用しながら品質管理手法の簡便化を図り、かつコンクリートの性能の信頼性を高めていく手法が確立できる。また、現在実施されている各種試験と実施工時諸性質の相関性を確認し、各種品質試験方法の妥当性を評価することで、性能規定型で設計・施工される構造物の性能保証に寄与する。


 

活動計画

本委員会の目的は、試験室レベルで把握できるコンクリートの特性と、実構造物中におけるコンクリートの性能の関係を明らかとすることにある。本委員会では、設計時に設定した性能をもった構造物を施工するために、フレッシュ時におけるスランプ試験に加えて、より正確に施工性を判断できる新たな試験方法を提案するとともに、施工方法が硬化後のコンクリートの性能に及ぼす影響、および、我国と諸外国におけるコンクリート試験方法の違いを探る。これらの研究活動を基に、限界状態設計法における適切な材料係数の値の求め方を示すことを目標とする。本年度の活動計画は、下記のとおりである。
6月半:文献調査による本委員会に関する研究状況の把握
7月始:第1回委員会の開催、委員会設置趣旨の確認とWGの設置(新たな試験方法の提案、施工方法を踏まえた性能評価、海外における試験方法の調査等、3つのWGを予定)
8月〜11月:各WGおよび委員会を二回ずつ開催。必要に応じて主査・幹事会を開催。
12月:各WGの研究成果をJCIでの発表に向けて調整。


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