プレストレス技術の有効利用研究委員会

JCI-TC073A
 
委員会設立主旨

 プレストレストコンクリート(以下PCと略記)構造は、RC構造の常時荷重下での性能を改善するために利用されてきたが、最近では、これに加えて、残留変形が小さいなどの耐震性能における有利性が注目されるようになっている。また、丸棒、ストランド、異形鋼という異なったレベルの付着特性を構造性能の改善に利用する試みもあり、付着制御が構造性能改善につながるような設計法も模索されている。さらには,アンボンド鋼材とセグメント部材を用いて部材再利用につなげようという環境対応型構造物の研究も見られるようになった。
 本研究委員会では,1989年に設置された「プレストレストコンクリートの利用性追及研究委員会」以後のPC構造について,上記のような次世代のPC構造,プレストレス技術の新しい利用法を国内外の文献調査などによりまとめる。併せて,現行の設計・施工において明確にされなければならないにもかかわらず十分な知見が得られていない項目,例えば,PCグラウトやプレキャスト圧着目地モルタルの必要性能や設計での考慮法,不静定応力の耐震性能への影響,残留ひび割れ幅の評価などにも目を向ける。
 実際のPC構造物としては,土木分野が圧倒的に多い。常時荷重に対するプレストレス技術の利用が主である土木分野と,耐震性能向上のために利用しようとしている建築分野とが協働できる場が提供されるものと期待される。


 
活動計画

委員会には二つのWGを設ける:基本技術WGおよび次世代技術WG
 基本技術WGでは、基本的でありながら、現在まであまり目を向けられてこなかった事項、例えば、PCグラウトやプレキャスト圧着目地モルタルの必要性能と設計での考慮、部材と接合部の履歴復元力特性などを採り上げる。これにより現行の設計・施工にも役立つ資料が得られる。
 次世代技術WGでは、プレストレスを用いた革新的な次世代技術を収集する。付着制御による構造性能の改善、アンボンド鋼材利用による解体可能な構造物など、研究レベルのものから実用化されたものまで資料収集を行う。また、資料収集を行うだけではなく、次世代技術開発の基礎となるべき基本技術を明確にし、基本技術と次世代技術間の連携についてもまとめる。本WGには、実構造物Sub-WGを設け、プレストレス技術を用いた実構造物のデータベースを作成する。



(c)プレストレス技術の有効利用研究委員会