コンクリートの凍結融解抵抗性の評価方法研究委員会

JCI-TC065A
 
委員会設立主旨

 「凍害」はコンクリート構造物の代表的な劣化の一つである。古くから調査・研究され、且つ、AE剤が広く普及している現状においても、スケーリングやひび割れなどの不具合が後を絶たない。その一因として、凍害劣化の実態や構造物への影響、凍結融解環境における劣化外力などが必ずしも十分に把握されていないことが挙げられる。また、コンクリートの耐凍害性を評価する方法として、我が国ではASTM C 666法に準拠した急速凍結融解の繰返しによる促進試験を行い、動弾性係数や質量変化を指標とした評価が広く実施されている。しかし、実構造物の劣化との関連が不明確なこと、試験装置間で評価に変動があること、そしてなにより、大変に時間と労力を要することなどが問題点として指摘されている。
 そこで、JCIでは平成18年度から「コンクリートの凍結融解抵抗性の評価方法に関する研究委員会」を設置した。具体的には、ASTM法から大きな変化をしていない凍結融解試験方法を見直し、コンクリートの耐凍害性を適切かつ簡易に評価できる手法の提案を行うことを目的としている。また、この検討のためコンクリート構造物の凍害の実態を定量的に把握し、それと各種試験方法による試験結果との関連を調査・研究する。


 
 
活動計画

 本委員会は以下3つのWGを構成し検討を進める。

1.凍害環境評価WG:凍結融解作用の定量的評価
 コンクリート構造物の凍害の実態や実構造物への影響を把握するともに、凍害の定義を確認する。また、凍害を受けた実構造物の評価、凍結融解環境の劣化外力の定量化などを目的とした検討を行う。

2.耐凍害性能評価WG:凍結融解作用に対する抵抗性の評価
 文献調査を中心として、耐凍害性を確保するための骨材品質、適切な空気量(気泡組織)、コンクリート強度などを検討する。そして、骨材およびコンクリートの耐凍害性に及ぼす内的要因の影響を定量的に評価する。

3.耐凍害性試験方法WG:凍結融解試験方法に関する調査研究
 コンクリートおよび骨材の凍結融解試験方法に関する問題点を整理する。そして、凍結融解条件、供試体寸法、評価項目などを検討し、現状の凍結融解試験方法の見直しを行う。さらに、海外における凍結融解試験方法も調査する。

 なお、本委員会で対象とするコンクリートはJIS A 5308「レディーミクストコンクリート」で扱うコンクリートおよび高強度コンクリートとしている。再生コンクリートやポーラスコンクリートは対象としていない。


(c)コンクリートの凍結融解抵抗性の評価方法研究委員会