建築・土木分野における歴史的構造物の
診断・修復研究委員会

JCI-TC-051A


 
委員会設立主旨

 近年(1996年)、文化保護に関する法律の一部改正に伴い、文化財登録制度が導入された。このような事情を背景として、現在、歴史的構造物の補修・補強工事が増加しつつあるが、レンガ造や石造構造物(目的・結合材には、モルタルが多く用いられている)の調査・診断・補修・補強技術については、まだ、十分な研究がされておらず、場当り的な方法がとられることが多い。特に、調査・診断方法について言えば、重要文化財などに指定されたレンガ造や石造構造物では、コア供試体の採取やはつり作業が許されない場合が多く、非破壊検査技術の適用性に関する検討が強く望まれている。また、補修・補強方法についても、外観を損なうことなく、遺構を残したままという大前提があるため、従来RC構造物で適用されてきた補修・補強方法がそのままでは採用できない場合が多い。
 本研究委員会の目的は、レンガ造を中心とし、石造・RC造を含む歴史的構造物の調査・診断・補強方法に関する既往の研究事例を整理・分類し、問題点を抽出するとともに、「歴史的構造物の診断・修復マニュアルおよび事例集」を作成することにある。


 
活動計画

 本研究委員会には、以下の3つのワーキンググループ(WG)を設ける。委員には、実務者として4名のコンクリート診断士資格取得者にも参画していただく。
 @劣化診断・補修WG
 A耐震診断・補強WG
 Bガイドブック作成WG
 2年目初頭には、シンポジウムを開催し、我が国および海外の技術の収集・整理に結びつける。また、2年目末に「歴史的構造物の診断・補修マニュアルおよび事例集」を出版する。併せて、ガイドブック作成WGが中心となり、我が国における歴史的構造物の所在地、建設年代、規模などを示したマップ(歴史的構造物マップ)を作成する。


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