日本コンクリート工学会

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会誌「コンクリート工学」

コンクリート工学 Vol.60, No.10
2022年10月号

目次

巻頭言
とりあえずやってみる
中村光
TOPICS
国立西洋美術館本館
今本啓一
解説
環境配慮型コンクリートの全体像と今後の展望
久田真・宮里心一・坂田昇
概要:
コンクリートは、構成材料であるセメントの製造過程に起因して多くのCO2が排出されることなどから、地球環境に対して負荷をかける素材とみなされている。しかしながら最近では、CO2排出量を低減したコンクリートから、CO2を吸収することで排出量を相殺して「カーボンネガティブ」を実現するコンクリートまで、様々なコンクリートが開発、実用化されている。これらのコンクリートは、環境配慮型コンクリートと総称される。本文では、コンクリートがCO2を排出するメカニズムを概説するとともに、環境配慮型コンクリートを形態の違いなどで分類し、それぞれの技術について解説する。また、今後の展望として、CO2削減に関わる取組みを評価する上での視点などについて述べる。
キーワード:
環境配慮型コンクリート、炭酸カルシウム、CO2吸収コンクリート、CCU材料、カーボンニュートラル、カーボンネガティブ、i-Construction
日本建築学会「溶融亜鉛めっき鉄筋を用いた鉄筋コンクリート造建築物の設計・施工指針・同解説」の概要
兼松学・山田義智・向井智久・小野里憲一・鹿毛忠継・野口貴文
概要:
2022年3月に日本建築学会より「溶融亜鉛めっき鉄筋を用いた鉄筋コンクリート造建築物の設計・施工指針・同解説」が発刊された。本稿では、その制定の経緯と背景、およびその概要について紹介する。その内容は、計画的事項にも触れるとともに、構造設計および耐久設計を骨格とする設計法に加え、工事・品質管理・検査といった施工に関わる内容を網羅しており、最新のJISとも整合し、既存のJASS5や耐久設計の枠組みと調和した実務的内容となっている。
キーワード:
溶融亜鉛めっき鉄筋、日本建築学会、設計・施工指針、耐久設計、品質管理・検査
テクニカルレポート
着色顔料を用いたモルタルの色調制御に関する基礎的研究
陣内浩・小山善行
概要:
カラーコンクリートは一般的な強度のコンクリートへの適用を中心に技術が普及してきたため、水結合材比の低い高強度領域で研究を行った例などは限られる。そこで、カラーコンクリートの表面の色を決定づけるモルタル部分に着目し、モルタルの水結合材比の変化が、顔料を混合して着色したモルタルの圧縮強度や色の変化などに及ぼす影響について検討することとした。この結果、綺麗な色に着色された圧縮強度140/mm2程度の高強度モルタルを作ることができること、また、水結合材比を低くすることによって、時間の経過による色褪せを抑制できることなどが確認できた。
キーワード:
カラーコンクリート、色、モルタル、顔料、水結合材比、経時変化、Lab色空間
特殊パラフィンエマルジョンによる凍害抑制技術
岡田明也・丸田浩・中村浩章・早川隆之
概要:
本稿では、新たな凍害抑制技術として開発された「特殊パラフィンエマルジョン」を混和したコンクリートの諸特性、並びにそれを適用した施工事例について報告する。特殊パラフィンエマルジョンの使用により、コンクリートの凍結融解抵抗性及びスケーリング抵抗性は著しく向上する。これは、パラフィン粒子がコンクリート中で20~200μm程度に集合し、微細な空気を導入した場合と同様に凍結時の膨張圧を低減したためと考えられた。また、特殊パラフィンエマルジョンを混和したコンクリートを実構造物へ適用し、一般的なコンクリートと同様に実機プラントでの製造が可能であること、施工2年5カ月後においても健全な状態を維持していることを確認した。
キーワード:
凍害、パラフィン、エマルジョン、凍結融解、スケーリング、相対動弾性係数、気泡間隔係数
セメント中の混合材の使用量増加が管理型処分場の残余年数に及ぼす影響
新見龍男・桐野裕介・加藤弘義・河合研至
概要:
セメント産業はクリンカー焼成時に廃棄物を大量に活用しており、最終処分場の延命に大きく貢献している。一方、近年は脱炭素社会の達成のためにセメント中の混合材の利用拡大が進められており、廃棄物受入れ量の減少により最終処分場の残余年数への影響が懸念される。そこで、混合材の使用量増加が最終処分場の残余年数に及ぼす影響を把握することを目的として検討を行った。その結果、混合セメントの生産割合が10%増加するごとに残余年数は1~3年短くなることが示された。また、クリンカーの組成を変更しない場合、少量混合成分5%の増加がもたらす影響は混合セメントの生産割合10%増加と同程度であることが示された。
キーワード:
ポルトランドセメント、混合セメント、少量混合成分、管理型処分場、残余年数、シナリオ分析
膨張コンクリートを用いた実大規模の床版・壁高欄試験体の膨張ひずみ分布とその推定方法
前田拓海・伊藤慎也・神頭峰磯・辻幸和
概要:
膨張コンクリートによって導入されるケミカルプレストレスの定量化および推定方法の実証を目的として、仕事量一定の仮定を用いて算出した膨張ひずみの推定値と、実大規模の床版および壁高欄を鋼桁上に持つ道路橋の試験体を用いた膨張ひずみの実測値との整合性を検証した。その結果、仕事量一定の仮定を用いることで、構造体の対称軸の有無によらず、一定の精度で構造物に導入される膨張ひずみおよびケミカルプレストレスを定量的に評価できることが確認された。これにより、構造物のひび割れを抑制するために有効なケミカルプレストレス量を事前に把握する方法として、当該推定手法が有効であることが示唆された。
キーワード:
膨張材、膨張コンクリート、仕事量一定の仮定、ケミカルプレストレス、床版、壁高欄
工事・プロジェクト記録
大断面トンネルにおける覆工コンクリート品質向上への取組みおよび地表面沈下対策
辰巳順一・村上義和
概要:
長崎497号松浦2号トンネルは、延長1290mの山岳トンネルで、内空幅約14mの大断面トンネルである。山岳トンネルにおいて、覆工コンクリートはトンネルの最終仕上がり面となる。このため、本工事においても、覆工コンクリートの施工については、品質の高いコンクリートを構築することが求められた。また、掘進側坑口部では、民家と近接する区間があり、トンネル掘削に伴う地表面沈下により民家に変状が生じるおそれがあった。このため、適切な地表面沈下対策を実施し、トンネル掘削による民家への影響を最小限にすることが求められた。本稿では、本工事において実施した覆工コンクリートの品質向上対策、および地表面の民家に対する地表面沈下対策について報告する。
キーワード:
山岳トンネル、覆工コンクリート、足付き三角面木、引抜きバイブレータ、早期閉合
講座
鉄道の耐震設計の変遷、耐震補強および設計事例まえがき
朝長光
鉄道の耐震設計の変遷、耐震補強および設計事例 ①国内における鉄道耐震設計の変遷
豊岡亮洋
年次大会報告
1. コンクリート工学年次大会2022(千葉)の概況
塩原等
2. コンクリート工学年次論文集を査読して
北山和宏
レビュー論文(文献調査委員会)
コンクリート構造物の解体およびリサイクル技術に関する文献調査
髙橋駿人
随筆
気候危機と人新世に立ち向かう-脱セメント焼成に向けて
外岡豊
海外だより
東南アジアで建築施工管理を経験して
藤本祐輝
さろん
カタカナ用語に負けないぞ!?
河野広隆
コンクリート技士のページ
コンクリート技士の取得を通じて
奥山夏樹
製鉄所のコンクリート技術者として
村田慶彦
コンクリート診断士のページ
AE剤ってなに・・・?
彌永穂高
コンクリートと共に
髙木寛
我が職場
美しく豊かな環境づくりを目指して 日本興業(株)
亀山剛史
あらゆる構造物の検査・探査・調査・診断 (株)ジャスト西日本
越智大介

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