2016年4月号

コンクリート製品

 生活と産業の社会基盤は、多くの構造物がコンクリートで作られています。道路、鉄道、港湾などの産業設備、上水道や下水道などの生活基盤、住宅やオフイス等の建物など、コンクリート構造物は現場打ちでも工場で作られたプレキャストコンクリート製品でも、外観は大きくは変わらないので、プレキャストコンクリート製品の存在は目立たないようです。

 日本全国の何処でも今日のように生コン工場でコンクリートを練混ぜ、アジテータトラックで運搬し、コンクリートポンプで打ち込むのが普通のことになったのは、約50年前の東京オリンピックの頃からです。一方、鉄筋コンクリート管が遠心力成形によって工場生産されるようになったのは、大正末期から昭和初期のことですから、コンクリート製品は90年の歴史があります。
 今回はコンクリート製品の特長と様々な製品を紹介してみたいと思います。

(執筆者:永吉哲郎(一社)全国コンクリート製品協会)

製品名 img

生活の場でのコンクリート製品

目次
  1. コンクリート製品の本質的優位性
  2. コンクリート製品の利点
    (1)品質安定性・信頼性・規格・品質保証
    (2)建設作業員の減少対策および現場作業・管理の省力化
  3. コンクリート製品の製造
  4. コンクリート製品の種類

1.コンクリート製品の本質的優位性

 物づくりの進歩は、手作業から機械化へ、現場製造から工場生産のプレハブ化・プレキャスト化が歴史の流れですから、コンクリート構造物の構築もこの方向で発展するでしょう。このような製造方式の変化は人為的な品質変動を抑え、高性能化と経済性が達成されることになります。

同一形状部材の大量生産(工業製品化) img(1)同一形状部材の大量生産(工業製品化)
構造物の構築で同一形状の部材を大量に必要とする場合、工業製品化する方が、高品質の部材を経済的に製造することができます。道路側溝、地先・境界ブロック、電気・通信用ポール、杭、上下水道の管路など、多数の規格化された製品があります。

(2)製品購入が経済的
コンクリート工が主体でない土工とアスファルト工の道路建設などでは、舗装ブロック、側溝、歩車道境界ブロックなどのコンクリート製品を利用しています。自前で施工するよりも製品として購入するほうが効率的、経済的です。また、RCD(Roller Compacted Concrete Dam)工法のダムにおける監査路の構築は、アーチカルバート等の製品を利用する方が効率的iです。農業の潅漑用製品や漁業の魚礁類もこれにあたります。

アスファルト舗装における境界ブロック img
アスファルト舗装における境界ブロック
道路用側溝施工の例 img
道路用側溝施工の例
ダム監査廊の例(富山県 宇奈月ダム) img
ダム監査廊の例(富山県 宇奈月ダム)ii

(3)施工システムとしての製品
コンクリート製品が施工システムの一部として位置付けられ、その製品がなければ成り立たない工法等があります。例えば下水道等の推進管、都市トンネル等のシールドセグメント、インターロッキングブロック舗装、盛土のアーチカルバートなど構造物構築の工法として、プレキャストコンクリート製品を前提としたものです。

(4)モジュール化による施工性
建設現場によって工期、騒音、振動、搬入路、美観など様々な厳しい施工条件が課せられ現場におけるコンクリート施工は、リスクを伴うとともに高コストとなる傾向にあります。構造物を適切なコンクリート部材(製品)にモジュール化し、建設現場で組立て、設置することによって、構造信頼性、経済性を高めることができます。供用中の軌道の下に道路を作るためのボックスカルバート、狭い路地などに水槽を設置する潜函式防火水槽、プレキャスト部材の自重を利用した施工事例を下記に挙げます。

①鉄道運行時間外、限られた空間における道路用分割式ボックスカルバート施工例
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②住宅街の狭い路地に設置する分割潜函式防火水槽の例
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③プレキャスト部材(壁)の自重を利用して屋根を持ち上げる施工の例
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(5)施工の制約条件の解決

現場打ちによる工事
工事に長い時間がかかるので渋滞が発生するため、CO2排出量が多くなります。
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コンクリート製品を使った工事
早く交通規制をとけるので渋滞が少なくてすみます。
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①環境保全・維持
コンクリート製品は完成品を建設現場に据え付けるだけなので、天候に左右されにくく、工事期間短縮、工事作業の簡略化などによって、交通渋滞抑制、およびそれに伴うCO2削減iii iv、特に夜間施工の作業騒音減等により、生活環境、地球環境に貢献します。
②熟練作業員の不足
現場の作業員不足を、工場製品を活用することで補うことができます。
③工期
コンクリート製品の使用によって、現場における養生期間が不要になることによって、現場施工の時間を短縮することができます。
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生コンクリートが供給困難な山中にコンクリート製品を設置した例
④コンクリート現場施工が厳しい条件での施工
積雪期、寒冷地、暑中などの天候の影響や、急傾斜地、海岸、水中、深海などの施工が厳しい現場、供用中の鉄道、道路、空港などの時間的制約が厳しい現場、また生コンクリートが供給困難な現場では、コンクリート製品で施工することにより、構造物の品質信頼性を高めることができます。


2.コンクリート製品活用の利点

 コンクリート製品の本質的優位性に加えて、構造物施工のプレキャスト化に寄与する特徴として次の事柄が挙げられます。v

(1)コンクリート製品の品質安定性・信頼性・規格・品質保証

img①天候の影響がほとんどない
 コンクリート製品は一般に屋内で成形などの作業をするため、コンクリートの品質に影響する日射や降雨がなく、工程や品質を損なう恐れがほとんどありません。
②フレッシュコンクリートの長距離運搬がない
 コンクリート製品工場では同一敷地内のプラントでコンクリートを製造するので、品質変動を生じやすいフレッシュコンクリートの長距離運搬がなく、品質が安定しています。
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img③熟練工による一定配合の繰返し製造
 コンクリート製品工場においては製品の種類、形状ごとに熟練工グループが同一配合のコンクリートを用いて、繰り返し製造を行うので、作業ミスがほとんどありません。また「コンクリート技士vi」、「コンクリート製品製造管理士vii」、「土木用コンクリートブロック技士viii」などの資格を有した管理者、熟練工が製造しています。
④低水セメント比
 一般に単位水量が少なく、水セメント比が小さな硬練りコンクリートを用いることが多く、耐久的なコンクリートとなります。
⑤高性能締固め装置による成形
 コンクリート製品は鋼製型枠やテーブルに取り付けたバイブレーターにより十分な締固めが可能となり均質なコンクリートの品質・外観を得ることができます。
テーブルバイブレーター img
テーブルバイブレーター
型枠に取り付けたバイブレーター img
型枠に取り付けたバイブレーター
img⑥品質管理体制
 コンクリート製品工場は、コンクリートの練混ぜから成形、養生、脱型の製造工程の流れが整えられており、また作業員が定められた役割を分担しているので、品質管理体制を整えやすい環境です。
⑦コンクリート製品の品質保証
 コンクリート製品はJISなどで規格化されている製品が多く、JISマーク制度やISO9000シリーズ等で製品の品質に関する第三者認証を受けているものが多数あります。またコンクリート製品は大型であっても載荷試験によって確認することができます。
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(2)建設作業員の減少対策および現場作業の省力化

①建設現場での作業量を大幅に軽減
 コンクリート製品は、本来建設現場で必要な工程(型枠工、鉄筋工、コンクリート工、養生工等)が工場で行われますので、建設作業が大幅に軽減されます。
img②建設現場における品質管理、工程管理を大幅に軽減
 完成品を現場に持ち込むので、現場でコンクリートの養生期間を考慮する必要がなく、品質管理が軽減されます。また、高層RC建築現場では、プレキャスト積層工法によって工程管理が単純化されます。
③施工速度の向上
 プレキャスト部材を組立て当日搬入することで、現場にストックヤードがない場合でも、トラックの荷台からクレーンで直接荷受けし、据え付け、組立てすることが可能となり、施工計画次第で更なる施工スピードアップが図れる結果、工期短縮に寄与します。
④3Kの軽減
 コンクリート製品を購入、設置することにより、現場でのコンクリート打設を最小限に抑え、手作業や重労働作業が削減され、汚れる、重い物を持つ、高所での作業軽減によって、建設現場における3K(きつい・汚い・危険)軽減に寄与することができます。
⑤現場廃棄物の減少
 構造部材のプレキャスト化によって、支保工・型枠、レディーミクストコンクリートなどの材料の搬入が減るので、現場廃棄物量(残コン、戻りコン、木製型枠、木くず、鉄筋端材)などを低減できます。

3.コンクリート製品の製造

(1)コンクリート製品の製造
 コンクリート製品製造方法には、振動締固め(流込み)方式、即時脱型方式、遠心力成形(方式)などがありますが、ここでは一般的な振動締固め(流込み)方式で鉄筋コンクリート製品を製造するプロセスを説明します。

img①鉄筋組立および型枠への配置
 鉄筋を製品に合わせた形に組立て、型枠の中に配置します。
img②型枠組立
 コンクリートを打ち込む前に、型枠がバラバラにならないよう、ボルトやクランプ(留め具)などで組み立てます。
img③コンクリート材料の計量・練混ぜ
 コンクリートの材料を計量、ミキサーに投入し、均一になるように練り混ぜます。生コンクリート工場と同等以上の管理をして、低スランプの硬練りコンクリート、繊維補強コンクリート、顔料入りコンクリートなど、コンクリート製品工場特有のコンクリートもあります。
img④製品の成形
 コンクリート製品は、一般に硬練コンクリートを用いて機械的に強力な締固めが行われます。内部振動機を用いる締固めのほか、振動台を用いる方法、振動加圧(即時脱型)成形、遠心力締固め、加圧締固めなどがあります。これらの成形方法は主として製品の形状によります。また成形方法に適したコンシステンシーがあります。
img⑤蒸気養生
 コンクリート製品は型枠の使用効率を上げるために、一般的には最高温度65°Cの常圧蒸気養生を行い、翌日脱型します。
img⑥脱型
 製品の寸法が正確に出せるよう鋼製の頑丈な型枠を用いるため、クレーンなどを使って翌日脱型します。脱型時に不良個所などないか確認し、もし確認されれば不良品として取り除くことができます。
⑦表示
 脱型時に行う外観目視検査で合格した場合、製造業者名、製品の種類、製造年月日などを表示し、どこの会社で、いつ作った製品かわかるようにしてあります。
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img⑧保管
 製品は、出荷するまで、ストックヤード(在庫置き場)で外力などが作用しない状態で保管します。


4.コンクリート製品の種類

コンクリート製品は(1)成形方法の種類、(2)構造別の種類、(3)用途別の種類の3つに分類されます。成形方法は主に、①振動締固め(棒状振動機、振動台、型枠振動機)、②加圧締固め、③振動・加圧締固め(即時脱型)、④遠心力締固め、⑤ロール転圧締固め、⑥その他の成形方法があります。構造別には①無筋コンクリート(URC)、②鉄筋コンクリート(RC)、③プレストレストコンクリート(PC)に分けられます。下記に3つの分類方法による一覧表を示します。

成形・用途・構造別コンクリート製品一覧表

成形方法 用途分類 設計区分(構造別)
無筋コンクリート(URC) 鉄筋コンクリート(RC) プレストレストコンクリート(PC)
振動・加圧締固め のり(法)面被覆ブロック類 張ブロック(小型)
連節ブロック
ブロックマット
張ブロック(大型)  
舗装ブロック 平板
インターロッキングブロック
視覚障害者誘導用ブロック
建築 空洞ブロック  
暗きょ類   鉄筋コンクリート管
マンホール類   組立マンホール
路面排水側溝類   上ぶた式U形側溝
擁壁類 ブロック式(分割式) 積みブロック  
加圧締固め 擁壁類(壁体式)   鉄筋コンクリート矢板  
振動締固め 暗きょ類 無筋コンクリート管 組合せ暗きょブロック
鉄筋コンクリートボックスカルバート
アーチカルバート
組立式アーチカルバート
シールド用セグメント
プレストレストコンクリートボックスカルバート
境界ブロック 境界ブロック    
路面排水側溝類 L形側溝 L形側溝
U形側溝
 
  上ぶた式U形側溝
落ちふた式U形側溝
皿型側溝
排水性舗装用側溝縦断管
縦断こう配可変形側溝
浸透透水性側溝
 
擁壁類 ブロック式
(分割式)
積みブロック 大型積みブロック  
大型積みブロック 組立土留め、井げた組擁壁、補強土壁  
壁体式
(一体式)
  L形擁壁、逆T擁壁、控え壁式擁壁 プレストレストコンクリート矢板
PC壁体
マンホール類   マンホール側塊
組立マンホール
電気通信用マンホール
地下埋設物用マンホール
 
用排水路類   矢板
フリューム、ベンチフリューム
組立土留め
L形水路
組立さく(柵)きょ
貯水施設類   雨水貯留施設
防火水槽
農業用貯水槽
耐震性貯水槽
防災施設類   ロックシェッド
スノーシェッド
スノーシェルタ
のり(法)面被覆ブロック類 張ブロック(小型)
連節ブロック
のり枠ブロック
張ブロック(大型)
のり枠ブロック
緑化ブロック類   植栽コンクリート(緑化ブロック)
橋梁類     道路橋用橋げた
道路橋橋げた用セグメント
合成床版用プレキャスト板
道路橋用プレキャスト床版
鉄道   鉄筋コンクリート軌道スラブ
プラットフォーム用製品、壁高欄
PCまくら木
 
共同溝類   共同溝、電線共同溝、洞道
ケーブルトラフ
 
建築   鉄筋組立塀
柱・梁
床材・階段・バルコニー版・カーテンウォール
空洞プレストレストパネル
その他   魚礁ブロック
コンクリート防護柵
 
遠心力締固め 暗きょ類   遠心力鉄筋コンクリート管
推進管
プレストレストコンクリート管
くい類   鉄筋コンクリートくい
節くい
鋼管複合くい
プレストレストコンクリートくい
プレストレスト鉄筋コンクリートくい
ポール類   照明用化粧ポール プレストレストコンクリートポール
マンホール側塊   マンホール側塊  
ロール転圧締固め 暗きょ類   遠心力鉄筋コンクリート管
推進管
 
マンホール側塊   マンホール側塊 プレストレストコンクリート管
高温高圧蒸気養生     軽量気泡コンクリートパネル(ALC)  

※この表は主な組み合わせを表す。


1.暗きょ類

 下水道、用排水路、道路(歩行者、自転車などの車両用)などの構成部材【暗きょ類(あんきょるい)】です。

1.1 遠心力鉄筋コンクリート管(ヒューム管)
下水などを流すために使用されて一般的にヒューム管といいます。ヒューム管は、遠心力成形法によって製造されます。
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1.2 プレストレストコンクリート管
img コンクリート管の長さ方向にPC鋼材または鉄筋を配置し、管の円周方向にはPC鋼材を緊張しながら巻き付けてプレストレスを導入した、きわめて剛性の高いコンクリート管です。
1.3 推進管
img 遠心力鉄筋コンクリート管を、開削することなく、地中を推進させて管路とする非開削工法に用いる製品です。
 最近は、曲線推進や長距離推進も一般的に行われるようになっています。
1.4 ボックスカルバート
 地中に作られた水路や通路などの空間のことで、箱型の空間を作るための製品なので、ボックスカルバートと呼ばれ、小河川の暗きょ化や下水、雨水を排水する用途のほかに、車や人の通路にも使用されることがあります。
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1.5 アーチカルバート
img アーチ形をしたプレキャストコンクリート製品で、下水道用、排水路用、地下河川用、地下道用及び共同溝用等多方面に利用することができます。このアーチの形状は、建造物として非常に合理的な形状をしており、構
造的に最も安定しているとされております。
1.6 シールド用セグメント
img 地下鉄、道路、下水道などを作るための「シールド工法」には、シールドセグメントというコンクリート製品が使われています。鋼鉄の筒の中に掘削する機械を納め、周囲の土砂の崩壊を防ぎながら、前面の土を回転するカッターで少しずつ削り取っては、その分油圧ジャッキによって前進し、後方に円周を分割した形状のシールドセグメントを組み立てて、トンネルを築造していく工法で使う製品です。

2.舗装・境界ブロック類

 舗装・境界ブロック類は、道路の舗装、境界などの構成部材として使われます。

2.1 歩道用平板
img 歩道用平板は、コンクリート製品の中では古株で、歩行者の足元が汚れないようにするために、歩道などのコンクリート舗装用として使われてきました。最近ではコンクリートをポーラス(多孔質)にして、雨水などが空隙部
分を通って上から下に抜ける透水機能によって、水跳ねしにくく歩行快適性が向上したものもあります。
2.2 歩車道境界ブロック
img 歩車道境界ブロックは、歩道と車道を区分するために使用されるブロックで、車などがぶつかっても簡単に外れたりしないように、製品が一定の深さに道路などの地中に埋め込まれています。歩道がある道路では、この
歩車道境界ブロックを見ることができ、車の運転手は、車道と歩道の境目をはっきりと識別でき、交通事故を減らすことに役立っています。
2.3 地先境界ブロック
img 地先境界ブロックは、官民境界(公共用地と民有地の境界)や民民境界(民有地と民有地の境界)などを区分するために使用されます。歩道中の植樹帯の枠として使われていることもあります。
2.4 インターロッキングブロック
img インターロッキングブロックは、西洋における舗石の代替品として発展し、ブロックが車などの荷重によって沈下しようとすると、ブロックとブロックとの隙間(目地)に密に充てんした硬い砂粒のかさ(体積)が増え、局所ブロックに作用した力が隣接したブロックに分散され、車や人の通行に耐えるようにできています。また、ブロックの表面を着色しているものもあり、歩道、広場、駐車場などのほか、最近では車道にも使われています。

3.路面排水溝類

 道路の側面に設置される路面排水路の構成部材です。

3.1 上ぶた式U形側溝および上ぶた式U形側溝用ふた
img 主に雨水を排水するために使われる側溝で単純な形状なので様々な用途に使われています。断面形状がアルファベットのU形をしているので通称「U字溝」と呼ばれています。側溝の上を人が通ることができるように、このU字溝用のふたも製造されています。
3.2 落ちふた式U形側溝および落ちふた式U形側溝用ふた
img 側溝にふたをかけた際に、ふた面と道路面が同じ高さになるよう、側溝本体にふたを落とし込めるよう工夫された側溝です。
3.3 L形側溝、皿型側溝
使用する場所に応じてL形や皿型の側溝があります。
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3.4 自由勾配側溝(縦断こう配可変側溝)
img 道路や地面の勾配と異なる導水勾配を持たせたい場合に使う側溝で、道路勾配に合わせて設置した自由勾配側溝の底部に、必要な導水勾配が取れるように現場打ちのコンクリートを打設して使用します。

4.擁壁類

 用排水路・河川・港湾などの護岸、道路、宅地造成などの土留め壁の構成部材です。

4.1 積みブロック
 ガケなどが崩れないようにする目的で古くから使用されてきた、石積間知石(いしづみけんちいし)をコンクリート製品にしたもので、主に道路、河川、宅地造成などに使われています。
 近年では、魚類や水生昆虫など生物の保護、緑化、景観など環境に配慮した積みブロックや、緑化(植生)に特化した緑化ブロックも使用されています。また、最近では河川の護岸に使用するブロックを積んだ時にブロックが露出する場合は、明るさの度合い(明度)が背景の森林や草木、自然石と同じようになるようなブロックを使用するようになってきており、自然景観との調和が考えられています。
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4.2 L型擁壁
 断面の形が「L」の形状をしており、土木工事などで土を切り取った「ガケ」や盛土を安定させるための壁状の築造物のことです。断面の形が「T」をひっくり返した形の逆T型擁壁もあります。
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5.くい類

img 各種構造物の基礎くいの構成部材です。
 コンクリートくいは、コンクリートパイルとも呼ばれ、建物の基礎や橋の橋台、橋脚などの基礎に用いられており、建物や橋が倒壊しないよう、地下でしっかりと構造物を支えるのがコンクリートくいです。

5.1 プレストレスト鉄筋コンクリートくい
 高強度コンクリートを遠心力締固めによって製造したコンクリートくいで、PHCくいと称します。軸方向にプレストレスを導入しており、その有効プレストレス量によって、A種B種C種に区分されています。高強度であることから、大きな軸方向力を有することを特徴としています。
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5.2 節くい
 地盤の摩擦力を大きくとることを目的とし、ストレートのPHCくいの一定間隔で節部を設けたくいです。節くいは、主に摩擦くいとして用いられますが、最近では支持くいとしても使用されています。
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5.3 鋼管複合くい
img 鋼管とコンクリートの複合くいで、SCくいとも言われています。外郭鋼管の中にコンクリートを注入し、遠心力成型で製造される鋼管とコンクリートが一体化されたくいで、大きな曲げモーメントが作用する場合などに使用されます。

6.マンホール類

 マンホールは一般的に、下水道、電気通信などの点検孔をさし、地下に埋められた管の方向・勾配・管径の変化する箇所に、管内の点検・清掃や管きょ内の換気の目的のために設置されています。
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7.用排水路類

 田畑の整備、農地造成における用排水路の構成部材です。

7.1 フリューム(U形フリューム)
img 主に農業用水や排水に使われる水路用の製品で、川などの水源から離れた場所に引くために人工的に造られた水路が用水路です。フリューム(U形フリューム)は、雨といのような形をしたU形水路で、主に農業用水路に使われます。
7.2 ベンチフリューム
 農業用の用排水路として直接地面に設置して使用され、また側溝としても使用されます。
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8.ポール類

 送電、通信など各種電線路用ポールです。

8.1 プレストレストコンクリートポール
 プレストレストコンクリートポールは、遠心力締固めとプレストレスの導入によって作られた柱状の製品です。プレストレスを導入しているため、ひび割れが入りにくく、一時的にひび割れが入っても荷重を取り除けばひび割れが閉じるのが特長となっています。
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8.2 照明用化粧ポール
img 主に照明塔として使用されるコンクリートポールです。街路や公園の景観と美観保全地域用として使用され、デザイン化粧ポールや擬木ポールなどがあります。

9.橋りょう類

 道路橋の橋げたなど、橋りょうの構成部材です。

9.1 道路橋用橋げた
 標準支間、5〜24mまでの道路橋、桟橋(さんばし)などの「けた」として幅広く使用されています。
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9.2 道路橋用プレキャスト床版
 パネル状のフラットなプレストレストコンクリート床版(PC床版)で、鋼製主桁の上に敷設し、道路橋として使われるコンクリート製品です。

10.貯水施設類

 防火用水、飲料水などの各種用水を貯蔵・貯留するための施設の構成部材です。

10.1 雨水貯留施設
img 遊水池・調整池は、洪水の原因となる雨水を一時的に貯留して、河川へ少しずつ流す施設です。このような調整池は広い面積を必要とするので、公園や道路の下などの地下に設置されます。
10.2 防火水槽
img 地震時などに消火栓が使用できなくなった場合に備え、地下に消火用の水をためるための耐震性のある鉄筋コンクリート水槽です。

11.防災施設類:ロックシェッド

img 落石、雪崩などから道路などを保護するための施設の構成部材です。ロックシェッドは雪崩や落石、土砂崩れから道路を守るためのトンネルのような防護用の建造物を覆道(ふくどう)と言い、コンクリート製品が使われています。このうち、岩石対策用のものをロックシェッドといいます。


12.のり(法)面被覆ブロック類

 河川堤防ののり面、切土・盛土ののり面の被覆の構成部材です。

12.1 張りブロック
img 張りブロックは、河川の護岸(土提)などの斜面(のり面)を保護するために用いる平板形状のブロックで斜面の勾配が45度よりも緩やかな場合は「張り」、急な場合は「積み」と呼びます。斜面勾配のゆるい場所に用いられるブロックが「張りブロック」です。
12.2 連接ブロック
img 鉄筋や金具などで相互を連結して敷設する護岸もしくは、のり面の保護用のコンクリートブロックです。
12.3 ブロックマット
img ブロックマットは河川、水路、調整池等、のり面保護のため、地盤の変形に合わせた追随性、マットでの施工性、緑生、防草などの特徴を持ったのり面被覆ブロックです。

13.緑化ブロック類

 河川堤防の、のり面、切土・盛土や駐車場の舗装面の緑化(植栽)のためのブロックです。

13.1植栽コンクリートブロック
img 緑化ブロックは、先に説明した積みブロックや、のり(法)面被覆ブロックを使って、積極的な緑化ができるように改良したもので、緑化のための土を入れる窪みを持たせたポット形ブロックや、意図的に空隙(くうげき)を持たせたポーラスコンクリートを用いたブロック、シートの上に複数のブロックを張り付けたブロックマットなどがあります。

14.鉄道施設類:PCまくらぎ

 鉄道のレールを支える部材で、木製であったものをプレストレストコンクリート製にして、長く使えるようにしてあります。現在の鉄道におけるPCまくらぎの使用率は、木製まくらぎや金属製まくらぎなどに比べて最も高くなっています。もともとは木製だったから「枕木」と書きましたが、コンクリート製のものが増えてきたので、「まくらぎ」と表記するようになりました。
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15.建築用製品類

 ブロック塀や建築の外壁などを構成する部材です。

15.1空洞ブロック(建築用ブロック)
 主 に建築用に用いられるブロックで、本体に空洞を持つものが多く、作り方は非常に硬練りのコンクリートを使って成形後すぐに型枠(金型)から抜き取る、即時脱型方式が多いです。
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15.2 軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)
 建築用の外壁や間仕切壁、床および屋根材として使用されていて、水に浮くALCパネルもあります。

16.建築用構造部材

 建物などの主要な構成部材です。

16.1 柱・梁
 コンクリート製品工場で製造され(プレキャスト化)建築現場に搬入し、柱、梁を建築現場で次々に組み立て、超高層ビルの現場でも「あっ」と言う間に立ち上がっていきます。
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16.2 床材・階段・バルコニー版・カーテンウォール
 建物の床材や階段、バルコニー版などのパーツも、工場で生産し、建築現場で組み立てられます。また建物の外壁に使うカーテンウォール(コンクリート製のパネル)は、表面のタイルや石材、窓枠なども工場でセットして一体成形します。このように、建築現場でも、どんな形の物も製作できるコンクリートの特性を生かしたコンクリート製品がたくさん使われています。
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17.その他の製品類

17.1 視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)
img 視覚障害者に対して、前方の危険の可能性や歩行方向の変更の必要性を予告すること、または歩行方向を案内することを目的として、靴底や白杖で触れることにより認知させる点状または棒状の突起を有する平板状のブロックです。駅の構内や地下街、横断歩道の近くなどにある、黄色い色のブロックです。
17.2 電線共同溝
 道路の地下空間を利用して、光ファイバー、電力線、電話線をまとめて収容するための設備です。電柱がなくなることによって、街並み、景色も美しくなり、災害時に電柱が倒れて災害車両通行の妨げにならないメリットがあります。
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17.3 魚礁ブロック
 魚類の住処(すみか)と繁殖のために、このブロックを海中などに設置し、人工的に魚の住処を作ります。魚の大きさや種類によって、いろんな大きさや形のブロックがあります。
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17.4 コンクリート防護柵
 自動車が道路から転落することを防ぐための"防護柵"と呼ばれる構造物です。高速道路などでよく使われ、車線を逸脱しないための製品です。
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 このように数多く使用されているコンクリート製品ですが、日本のセメント使用量の約13%にとどまり、下記のように諸外国と比較すると建設工事におけるプレキャスト化の余地が大きいことが分かります。

<ヨーロッパのプレキャスト化率ix>

デンマーク オランダ フィンランド オーストリア アイルランド
49% 48% 42% 33% 29%
スウェーデン ベルギー ドイツ チェコ  
28% 24% 24% 23%  

 


〔参考文献〕
i (財)日本ダム協会:ダム工事のプレキャスト化施工事例集、pp5、2010年
ii (財)日本ダム協会:ダム工事のプレキャスト化施工事例集、pp70、2010年
iii (社)日本コンクリート工学協会:プレキャストコンクリート製品の設計と利用研究委員会報告書、pp318、2009年
vi 土木学会コンクリートの環境負荷評価(その2)、pp102、2005年
v (一社)全国コンクリート製品協会:コンクリート製品検定2015公式テキスト
vi (公社)日本コンクリート工学会
vii (一社)全国コンクリート製品協会
viii (公社)全国土木コンクリートブロック協会
ix (社)日本コンクリート工学協会:プレキャストコンクリート製品の設計と利用研究委員会報告書、p12