コンクリート製品検定 〜コンクリート製品の広報活動として〜

図-1 ロゴマーク
とピースくん img
図-1 ロゴマーク
とピースくん

一般社団法人 全国コンクリート製品協会では,2010年(平成22年)から,コンクリート製品検定(略称:コン検)を実施しており,今年で9回目を迎えます。
今回はこの事業の発端,目的,現状と課題について報告します。

執筆者:情報コミュニケ—ション委員会 委員
衣笠仁浩(一般社団法人 全国コンクリート製品協会)


検定の目的

この検定は以下のことを目的としています。

(1)
コンクリート製品がどのように社会に役立っているかを,広く一般の方に知ってもらう。(広報活動の一環)
(2)
建設系学科の学生・生徒にコンクリート製品の役割を知っていただき,コンクリート製品メーカーを就職活動の選択肢の一つにしてもらう。
(3)
コンクリート製品の原材料や製造諸資材のメーカーの方に,コンクリート製品がどのように使われているかを理解いただき,原材料や諸資材の改良,開発に活かしてもらう。
(4)
コンクリート製品メーカーの事務系社員や製造系社員の方に,コンクリート製品がどのように社会に役立っているかを知ってもらい,仕事への誇りと愛着を深めてもらう。

実施の背景

コンクリート製品は,道路,河川,鉄道,港湾,建物など身近な所で使用され,社会基盤の整備を通して,私たちの生活の安全・安心・利便性の向上に貢献しているほか,リサイクル材料の使用,緑化,生物環境への配慮,雨水の地下浸透など地域環境維持に配慮した製品を通して,サステイナビリティ社会の実現に貢献しています(月刊コンクリート技術2016年4月号もご参照ください)。

図-2 暮らしに役立つコンクリート製品1) img
図-2 暮らしに役立つコンクリート製品1)
遠心力鉄筋コンクリート管(ヒューム管) ボックスカルバート シールド用セグメント 歩道用平板 歩車道境界ブロック インターロッキングブロック 落ちふた式U形側溝 自由勾配側溝 積みブロック L型擁壁 コンクリートパイル 鉄筋コンクリート組立マンホール ベンチフリューム プレストレストコンクリートポール 道路橋用橋げた 雨水貯留槽 ロックシェッド 張りブロック 緑化ブロック PCまくらぎ 空洞ブロック ALCパネル カーテンウォール 視覚障害者誘導用ブロック 電線共同構 魚礁ブロック

しかしながら,コンクリート製品はあまりにも身近で地味な存在であるため,一般の人々にはその重要性の認識が低く,間違った理解をしている人が多いのが実情です(たとえば,U字溝はバーベキューのコンロなど)。
また,建設系の学科では,コンクリートについての授業はあるものの,2014年に「プレキャストコンクリート製品の技術」2)が発刊されるまでは,コンクリート製品について詳しく扱った授業はほとんどなかったようです。
コンクリート製品メーカーの事務系社員でさえも似たような状況で,製品への正しい認識と業界の社会的地位の向上が必要と考えたことが,コン検の発端です。
コン検ではテキストおよびレクチャービデオで道路,河川等の社会基盤整備をはじめ,防災,環境整備などにおける様々な役割をもつ製品を紹介し,社会資本整備の大切さとその中でのコンクリートとコンクリート製品の重要性をわかりやすく丁寧に解説し,理解を促すようにしています。
また,橋などインフラの老朽化,巨大災害の切迫という状況と同時に,建設技能者の高齢化による労働力減少が目前に迫るなか,インフラ維持・整備の課題解決策として,コンクリート製品の積極活用がテーマの一つになっています。正しい理解にもとづいて,コンクリート製品が活用され,国民の評価が得られるよう,コン検ではこのような社会問題とのかかわりについても説明し,理解の促進につとめています。

図-3 公式テキスト(A4版50ページ) img
図-3 公式テキスト
(A4版50ページ)

実施状況

(1)級と実施場所
コン検には初級・中級・上級の3つの級があります。初級は誰でも受検することができますが,中級は初級合格者,上級は中級合格者に受検資格があります。なお,第10回(2019年)から上級合格者向けのマイスター級を設けることになりました。そして,会場は以下の3種類です。
(a)主催者が設営した全国10か所のメイン会場
    (2017年は札幌・仙台・東京・名古屋・福井・大阪・松山・広島・福岡・浦添)
(b)5名以上の方が1箇所で受検する場合に,自ら設営したサブ会場
(c)10名以上の学生・生徒が受検できる学校会場

(2)実施期日
上記の(a)は全国で一斉に実施しますが,(b)と(c)は,(a)の実施日以降2週間以内の任意の日時に実施できます。今年(第9回)は11月10日(土)(メイン会場)に実施する予定になっており,9月上旬に全国コンクリート製品協会のホームページに詳細が掲載されます。

(3)受検費用
上記の(a)と(b)は一般2,000円/人で,学生・生徒は半額の1,000円です。(c)については学生・生徒は無料です。

(4)申し込みから受検まで
申し込みされた方には,事前に協会からテキストが送られます。また,YouTubeでレクチャービデオ(約46分)を公開していますので3),それらを教材として事前に勉強していただきます。なお,サブ会場と学校会場にはテキスト・問題・回答用紙は一括して送られます。
テキストには絵や写真を多用し,キャラクターの対話形式で,コンクリートとコンクリート製品,コンクリート製品の使われ方などをわかりやすく解説しています。
検定当日にはあらためてレクチャービデオを見て頂いた後,検定を実施します。出題範囲はテキストに記載されていることに限っています。回答は4択のマークシート方式です。検定の制限時間は60分ですが,回答し終えた人から退出してもらいます。初級・中級・上級の合格ラインは,それぞれ70点・80点・90点です。

(5)問題の一例
全国コンクリート製品協会のホームページに,「コン検クイズ」を掲載していますので4),そちらをご覧ください。

(6)記念品ほか
受検者全員に記念品をプレゼントしています。記念品はコン検オリジナルの食器で,3年連続受検すると,マグカップ・お皿・サラダボウルがそろうようになっています。また,合格者には合格証書のほかに,合格カードが贈られます。見せびらかして,自慢してもらうためのツールです。

図-4 合格カード img
図-4 合格カード
図-5 記念品(2017年) img
図-5 記念品(2017年)

結果

図-6 受検者の推移 img
図-6 受検者の推移

2017年11月に実施した第8回の受検者総数は2,880名,うち1,516名が学生・生徒でした。内訳は学生・生徒が52.6%,コンクリート製品会社社員が36.9%,コンクリート製品関連諸資材会社社員が5.1%,その他(金融機関・建設業など)の方が5.4%でした。年々,学生・生徒(学校会場は無料)の受検者が増え,うれしい限りですが,一方で費用の捻出に苦労しています。今回は業界団体や関連企業79団体(社)にご協賛いただき,なんとか赤字にならずに済みそうです。
今回はメイン会場10のほか,サブ会場68,学校会場31の計109会場で実施しました。そのうち学校会場は大学・短大:13校,高専・専門学校4校,高等学校:14校となりました。検定に先立ち,特別講義を実施して頂いた学校もあり,先生方の熱心な取り組みに頭が下がる思いです。また、単位認定を検討している学校もあると聞き,責任の重さを痛感しています。

図-7 学校会場(第8回) img
図-7 学校会場(第8回)

ちなみに,今回の合格率は初級88.4%,中級60.4%,上級67.6%でした。
なお,2016年(第7回)は浦添メイン会場(沖縄)の隣がコンクリート製品メーカーであったことから,オプションとして工場見学を実施しました。また、2017年(第8回)は社外受検者向けに工場見学を実施したサブ会場もあります。

図-8 東京会場(2017年度) img
図-8 東京会場(2017年度)
図-9 工場見学の模様 img
図-9 工場見学の模様

受検者の感想

最後に受検者の感想を紹介しておきます。東北学院大学工学部 環境建設工学科3年(当時)高森優花さんの感想です。

大学の授業でこの検定があることを知り,学校会場で受検しました。そして,めでたくコンクリート製品マニアに仲間入りすることができました。
検定で使われるテキストは,コンクリートだけに堅苦しい話がずらずら書かれていると思いきや,ドラえもんの土管の話が出てきたり,写真があったり,色分けがしていたりと親しみやすく読んでいて飽きませんでした。また,対話形式になっているので,友達と読み合って楽しく勉強することができました。
今回の検定を終えて,コンクリート製品がどのように暮らしに役立っているのかがわかりました。そして,コンクリートについてもっと知りたくなりました。興味がわくことで,大学の授業も今まで以上に楽しくなりました。さらに,試験の緊張感を味わえたこともよい経験になりました。
私たちの暮らしの中にはコンクリートが欠かせません。外を歩けば必ずと言っていいほど,どこかにコンクリートが使われています。コン検を受検して,今まで身近にあることが当たり前だったコンクリート製品を見る目が変わりました。コンクリートのことを知って見るのと,知らないで何となく見るのとでは,全然違います。
私と同じように,コンクリート製品マニアの仲間が増えることを期待しています!

図-10 コン検・イメージイラスト img
図-10 コン検・イメージイラスト
[参考文献・ホームページ]
1)月刊コンクリート技術 2016年4月号「コンクリート製品」
2)國府勝郎:プレキャストコンクリート製品の技術,セメント新聞社,2014.10
3)コンクリート製品検定レクチャービデオ
4)「コン検クイズ」((一社)全国コンクリート製品協会ホームページ)

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