プレストレストコンクリート構造

 コンクリートの引張強度は圧縮強度の1/10程度と極端に小さい。そのため設計では、引張域のコンクリートは部材耐力に寄与しないとして、これを無視するのが一般的である。しかし、もし何らかの方法でコンクリートに引張応力度が生じないようにすることができれば、コンクリート構造も鋼や木材と同様に、部材の全断面を利用でき、経済的となる。

 プレストレストコンクリート(PC)構造の補強機構は、まさにこの点をねらったものである。つまり、外力により断面に発生する引張応力度とほぼ同じ程度の圧縮応力度をあらかじめ人工的に加えておくことによって、これらを相殺させ、コンクリートに引張応力度が生じないようにするのである。この発想は、別な見方をすれば、コンクリートの見掛けの引張強度を高めたということもできる。あらかじめ人工的に圧縮応力度を与えることを、プレストレスを与えるといい、この補強方法をとったものを、プレストレストコンクリート(PC)構造という。

 PC構造には、RC構造との共通の長所に加えて、次のような長所がある。

 (1) ひび割れが生じにくい。

 (2) 高強度コンクリートおよび高張力鋼を有効に利用できる。

 (3) 一般に、RC構造よりも部材断面を小さくできるので、自重が支配するような大スパン構造(長大橋や大スパン架構)に有利である。

 (4) PC接合(PC圧着接合)を前提として、分割、継足し、組立てによる施工が可能で、プレハブ化が容易である。

 (5) 一時的な過大荷重によるひび割れ、変形が生じても、除荷後はほぼ復元する。

 反面、以下のような短所もある。

 (1) プレストレスの設計・施工には、緊張力の導入・定着、グラウト材の注入など慎重を要するPC特有の技術も必要である。

 (2) 若材齢でプレストレスを与えることから、部材の弾性およびクリープ変形が大きくなる可能性があり、設計および施工・製作時に技術的配慮を必要とする。

 (3) 部材が大きな損傷を受けた場合、その修復がRC構造に比較してむずかしい。

 (4) ポストテンション方式において、グラウトの充填が十分でない場合、PC鋼材破断による耐荷性能および耐久性の低下や第三者被害等の問題が発生するおそれがある。

(上記内容は、コンクリート技術の要点'07からの抜粋です。詳細はそちらをご確認下さい。)

ページの先頭へ