混和材

 一般に用いられている混和材は、次のように大別し分類することができる。

 i) ポゾラン作用のあるもの(フライアッシュシリカフューム、火山灰、珪けい酸白土)

 ii) 潜在水硬性のあるもの(高炉スラグ微粉末

 iii) 硬化過程において膨張を起こさせるもの(膨張材

 iv) オートクレーブ養生によって高強度を生じさせるもの(珪酸質微粉末)

 v) その他(増量材、着色材(顔料)、石灰石微粉末、シリカフュームやエトリンガイト系高強度混和材、超早強混和材など)

フライアッシュ

フライアッシュは、石炭火力発電所において微粉炭を燃焼する際、溶融した灰分が冷却されて球状となったものを電気集塵器等で捕集した副産物である。

 その品質は、微粉炭の品質、燃焼条件および捕集方法などによってかなり相違するため、JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)に品質が規定されている。近年、石炭火力発電所の新増設により急激に増加している石炭灰を有効利用する観点から、1999年2月の改正では、従来の1つの等級であったフライアッシュの品質を見直し、より広範囲な品質のフライアッシュの利用を考慮して等級数を4とした。また、1999年2月には日本建築学会から「フライアッシュを使用するコンクリートの調合設計・施工指針(案)・同解説」が、4月には土木学会から「フライアッシュを用いたコンクリートの施工指針(案)」が刊行されている。

  市販されているフライアッシュの密度は2.0〜2.2 g/cm3程度で、比表面積は3 000〜5 000 cm2/gの範囲で、平均粒径は20 pmで1〜100 pmの範囲に分布しているものが多い。

  フライアッシュの主な化学成分はSiO2(全体の50〜60 %)およびAl2O3(25%程度)であり、Fe2O3やC等が少量含まれている。

 フライアッシュはそれ自体に水硬性はないが、これに含まれている可溶性の二酸化珪素(SiO2)がセメントの水和の際に生成される水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と常温で徐々に化合して、不溶性の安定な珪酸カルシウム水和物等を生成する。このような性質をポゾラン活性と呼んでいる。

 フライアッシュの粒子の大部分は、表面が滑らかな球状を呈しており、これは他のポゾランにみられない優れた特徴である。そのため、コンクリートに混和したときのワーカビリティーが改善され、所要のコンシステンシーを得るために必要な単位水量を少なくすることができる。

 フライアッシュの強熱減量は、炭素含有量の目安を与えるものであるが、未燃炭素含有率が大きいほど、AE剤の吸着が増大し、空気連行性が低下する。

シリカフューム

シリカフュームは、フェロシリコンやフェロシリコン合金を製造する際、原料としてのけい石、石英、鉄くずと還元剤としてのカーボン電極および石炭を電気炉で2 000℃近くまで熱したとき、中間生成物としてのSiOがガス化して、排気ダクトの中で酸化され、SiO2として集塵機で回収された副産物である。主成分はSiO2で、そのうち大部分が非晶質で、完全な球形で1 pm以下、平均粒径0.1 pm、比表面積は200 000 cm2/g程度の超微粒子で、たばこの煙粒子より細かい。密度は2.1〜2.2 g/cm3程度、かさ密度0.25〜0.3 g/cm3で灰色である。

 シリカフュームをセメントと質量で10〜20 % 置換したコンクリートは、高性能AE減水剤と併用することにより所要の流動性が得られ、しかもブリーディングや材料分離の小さいものが得られる。また、繊維補強コンクリートの繊維の分散性がきわめて良くなる。

  水セメント比が20 % 以下の場合、セメントペーストに高性能AE減水剤を多量に添加してもばさばさの状態にしかならないが、これにシリカフュームを添加すると流動性が得られ、かつ材料分離を生じない。このようなコンクリートの圧縮強度として120〜270 N/mm2が得られている。

高炉スラグ微粉末

高炉スラグ微粉末は、高炉から排出された溶融状態のスラグを高速の水や空気を多量に吹き付けて急冷粒状体とし、これを微粉砕し、調整したものである。急冷によって、スラグは結晶化することなくガラス質で化学反応を起こしやすい状態となっている。

 従来、急冷スラグは高炉セメント原料として用いられてきたが、これを用いたコンクリートの品質改善効果が種々あることから、近年はコンクリート用混和材として、高流動コンクリートや高強度コンクリート等にも用いられている。

 土木学会では、高炉スラグ微粉末の品質を規格(案)として1986年に定め、1988年に設計施工指針(案)を刊行している。1996年3月には、前記の指針(案)を改訂した「高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートの施工指針」を制定している)。また、1995年3月には、JIS A 6206(コンクリート用高炉スラグ微粉末)が制定され、その後、1997年8月に改正されている。日本建築学会では、1996年1月に「高炉スラグ微粉末を使用するコンクリートの調合設計・施工指針(案)・同解説」を制定している。

膨張材

 膨張材は、セメントおよび水とともに練り混ぜた場合、水和反応によってエトリンガイト(3 CaO・Al2O3・3 CaSO4・32 H2O)あるいは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の結晶を生成して、その結晶成長あるいは生成量の増大によりモルタルまたはコンクリートを膨張させる作用を有する混和材である。JIS A 6202(コンクリート用膨張材)に、その品質が定められている。膨張材の水和速度は、セメントと混合した際有効な膨張が得られるように、モルタルやコンクリートの凝結終了後から水和が開始し、常温では3〜7日で終了するように調整されている。

 膨張材を混入したコンクリートを一般に膨張コンクリートと呼び、これはさらに収縮補償コンクリートとケミカルプレストレストコンクリートに分類される。

 前者はコンクリートの乾燥収縮を補償し、ひび割れの低減を目的としたものであり、後者は膨張材を多量に混和してコンクリートに生ずる膨張力を鉄筋などで拘束しケミカルプレストレスを導入するものである。

(上記内容は、コンクリート技術の要点'07からの抜粋です。詳細はそちらをご確認下さい。)

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