日本コンクリート工学会

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2018年の新春を迎えて

丸山久一

 新年あけましておめでとうございます。本年も本学会会員の皆様にとりましてよい年でありますことを心からお祈り申し上げます。

 近年、国際関係は不安定な状況が続いておりますが、国内の経済は安定していて、日々の生活に大きな影響は見られないようです。とは言っても国内政治にはいろいろ複雑な動きがあり、比較的大きな離合集散が起きています。

 建設産業界は、東日本大震災からの復興や3年後のオリンピック・パラリンピックの準備等で、当該地域では活性化しておりますが、日本全体として公共事業費は伸びておらず、しかも少子高齢化の影響で後継者不足が顕著になっています。

 一方、スポーツ界では若い人々の活躍が目立っています。フィギュアスケート、体操、卓球では、裾野の広い育成システムがあるためか、10代の若者が次々に現れて世界に飛翔しています。陸上の100m走では日本人として初の9秒台がでました。また、将棋界にも、中学生の天才棋士が現れました。

 工学分野、コンクリート分野の活動や成果物は、一般の人々の日常生活の身近にあるのですが、スポーツ界のような華やかな舞台がないためか、興味を持ってもらう工夫がより一層必要のように感じます。個々には出前授業や各種イベントの開催等で努力はされていますが、統一的で継続的な活動が求められます。

 これらの課題を踏まえて、本学会も種々の取組みを展開しております。昨年度から新たに立ち上げたものとして、若い方々の研究活動の助成を目的とした研究助成制度があります。お陰様で好評を頂き、研究助成については多数の応募がありました。今年度も継続しております。なお、国際会議での発表に関わる助成も実施しておりますので、若い方々の積極的な活動を期待しています。

 女性活躍推進普及委員会は、世界的に見てもまた国内の他分野に比べても十分でないコンクリート分野への女性の進出を、より一層促進するための方策を検討する委員会です。具体的な提案がまとまりつつあります。イメージアップ広報戦略検討委員会の提案とともに、具体的な活動計画を立て、実施して行きたいと思います。

 国際的な活動として、昨年4月に東京でJCI-RILEM主催のマスコンクリートのひび割れ制御に関する国際ワークショップ、9月に札幌でISO/TC71の総会を主催し、10月には米国カリフォルニア州アナハイムでACI-JCIジョイントセミナーを開催いたしました。本学会会員の皆様のご努力で、いずれも盛会裏に終えることができ、所期の目的を達成いたしました。今後とも国際的な活動を進めて行きたいと思います。

 社会の多方面で人工知能(AI)が話題になっています。囲碁や将棋の世界ではAIが名人を破り、定石が変わろうとしています。さらに、AIを搭載したロボットは、家庭内の嗜好品から会社の受付係や商店のレジ係に進出する勢いです。

 建設産業界でもi-Construction、生産性向上、担い手確保をキーワードとして、新たな動きが始まっています。ただ、コンクリート分野としては、生産性向上という観点からのプレキャスト化が見直されている程度で、新たな取組みは目立っておりません。

 欧米では、3Dプリンティング手法によるコンクリート構造物の建造に関する研究が始まっています。型枠を使わずにコンクリートを打ち重ねていく方法で、大きなケーキを作るような感じです。現状では、材料、施工、設計面で解決すべき課題は多岐にわたっていますが、AIを前提としたコンクリート工学の新たな飛躍が期待されます。本学会としても調査研究を始めたいと思います。

 本年も会員の皆様のご支援を得て、諸課題に積極的に取り組みますので、よろしくお願いいたします。

公益社団法人日本コンクリート工学会
第27代会長
まるやま・きゅういち
(長岡技術科学大学 名誉教授)

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