2015年の新春を迎えて

会長 三橋博三

 2015年の年頭に当たり、日本コンクリート工学会(JCI)会員の皆様にとりまして、本年が素晴らしい年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

 本年は、JCIにとって創立50周年の記念すべき年です。7月12日に催される記念式典を始め、国際会議など様々な記念行事や記念出版が予定されております。この記念すべき機会に、数多くの諸先輩のご尽力によって築き上げられた今日のJCIの到達点に感謝しつつ、これからのコンクリート工学の一層の進歩・発展について、会員の皆様と一緒に考えていきたいと思っております。

 さて、この節目の年のJCIの会誌「コンクリート工学」1月号は、東日本大震災からの復興と2020年開催が決まった東京オリンピック・パラリンピックにコンクリートはどのように貢献することができるかについての特集号です。1964年に開催された東京オリンピックは、第2次世界大戦でいたるところが焼け野原となった我が国の戦後復興が成し遂げられ新しい時代が訪れたことを象徴するかのような、新幹線と高速道路の建設を始めとする近代的な日本のインフラの骨格構築をもたらしました。更にその後続いた高度経済成長とともに進んだ我が国の発展を支える重要な建設材料として、コンクリートはその中心的役割を果たしてきました。しかしながらその一方で、これまでに築き上げてきたインフラの老朽化も進み、それをいかにして維持管理していくかが大きな社会問題となりつつあります。それに加えて、とりわけ近年になって大地震・大津波・大雨による土砂災害などの稀に見る大規模な自然災害に見舞われました。そこからの一日も早い復興とより一層安全・安心な社会を構築するため、コンクリート工学の果たすべき役割の重要性が、改めて認識されております。

 東日本大震災の際には、大きなコンクリート構造物を押し流した驚異的な巨大津波に、改めて自然の力への畏れを感じました。しかしその一方で、がれきの山で埋め尽くされた沿岸地帯には、その大津波にも耐えて多くの人々の命を救ったコンクリート構造物があったことも忘れることができません。また、1995年1月の阪神・淡路大震災の際には、巨大地震の揺れに耐えきれずに沢山のコンクリート構造物が崩壊しました。しかしながら東日本大震災では、現行の耐震設計法で建設されたあるいはそれに見合ったレベルに耐震補強された構造物の多くが大きな被害を免れました。従って、この技術をもってすれば、復興への取組みにもあるいは2020年の東京オリンピック・パラリンピック後の日本のインフラの新たな骨格作りにも、現在のコンクリート工学の力が大いに発揮されるものと期待されます。JCIの資格認定を受けたコンクリート技士・主任技士の存在も益々重みを増すことでしょう。

 また、老朽化が心配される既設のコンクリート構造物を次の世代へいかに引き継いでいくかも大きな課題です。JCIでは、2014年11月に「既存コンクリート構造物の性能評価指針」を発刊するとともに、2013年から2年間にわたって活動している既設コンクリート構造物の維持管理と補修補強技術に関する特別委員会より、今年2015年にはその成果が報告される予定です。これらの成果は、JCIの資格認定を受けたコンクリート診断士を始め、コンクリート工学の分野で活躍している技術者や研究者の皆さんを支援するとともに、安全・安心な社会づくりに大いに貢献するものと期待しております。

 最後になりましたが、会員の皆様にはJCIのさらなる発展のために、今年もご支援・ご協力を宜しくお願い申し上げます。

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