日本コンクリート工学会

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東北地方太平洋沖地震について

平成23年3月22日
桝田佳寛

 このたびの東北地方太平洋沖地震の被災者の方々に、心よりお見舞い申し上げます。また、現在、懸命な救出と復旧に務められているの方々に、感謝するとともに敬意を表したいと思います。

 3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震の被害は、連日、新聞やテレビ等で報道され、その甚大さが日に日に明らかになっております。マグニチュード9.0という地震規模、10mを超える津波は、これまでに日本が経験したことのないものです。死者および行方不明者は2万人以上、避難者40万人以上、倒壊した家屋や建物は1万5千棟以上と予想されています。まさに目を覆いたくなるような惨劇です。

 コンクリート構造物の被害についてですが、報道を見る限りでは、建物については、鉄筋コンクリート造は、その地震や津波に対する堅牢性が木造のそれに比べ高いことが、不幸にも証明された形になってしまいました。防波堤や防潮堤などは、ほとんどが破壊され、今回の津波の力がいかに大きかったかが、うかがえます。東北新幹線においては、電柱や一部の高架橋柱の破壊などあるものの、高架橋の落下やトンネルの崩落などの致命的な被害は報告されていません。現時点では、総じて、コンクリート構造物については、我が国のコンクリート工学の技術の高さが証明された結果ではないでしょうか。とはいえ、このたびの地震や津波による被害について詳細な調査と検証を行う必要があります。そして、その結果をコンクリート構造物に生かし、このような災害から一人でも多くの人命や財産を守ることが私たちの責務だと思います。一方、福島第一原子力発電所の問題も大きくクローズアップされています。当該発電所のコンクリート構造物というよりは、非常用ポンプの電源設備の津波対策に問題があったと報道されていますが、いずれにしても日本の原子力政策の見直しが迫られることは必至であり、その影響はコンクリート関連産業に少なからずあるでしょう。しかし、私たちコンクリートに携わる者は、復興を信じ、諸課題に対して適切な対策を講じれば、たとえば新たな技術や製品の開発の推進すれば、困難を乗り越えることができると信じています。

 最後になりましたが、このたびの地震の影響等により、今後開催される本会主催の各種講習会やシンポジウムおよび委員会活動等の一部の行事においては、延期や中止あるいは会場変更などがあり得ます。会員および関係者の皆様にはご迷惑をおけしますが、何とぞご理解いただきますようお願い申し上げます。

社団法人日本コンクリート工学協会
第24代会長
ますだ・よしひろ
(宇都宮大学工学研究科地球環境デザイン専攻 教授)

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